大正文化財保存を 郡山・逢瀬川第1取水場ポンプ室、国登録検討

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逢瀬川第1取水場ポンプ室を示す渡辺さん

 1924(大正13)年に郡山市桜木に造られた逢瀬川第1取水場ポンプ室を、歴史的文化財として保存しようという動きが広まっている。同取水場は今は使われておらず、市水道局が本年度中に解体する方針だったが、保存の動きによっていったん保留となり、市教委は国登録有形文化財の登録を視野に調査を始めた。

 逢瀬川第1取水場は大正時代、市内中心部の人口が急増し、安積疏水だけでは給水不足を来すようになったことから、新たな水源確保のため逢瀬川から取水しようと整備。豊田浄水場を通じて市民の生活用水などの給水に貢献したが、2013(平成25)年に豊田浄水場が廃止されたため、役目を終えた。さらに、同ポンプ室は老朽化し、東日本大震災でも損壊したため管理する市水道局が本年度中に解体する方針を決めていた。

 しかし、ポンプ室は、国登録有形文化財の郡山公会堂と同時期に、当時珍しい鉄筋コンクリートで造られ、整備当初に設置したスイス製ポンプ1台が残るなど歴史的価値があるとして、県建築士会郡山支部の青年、女性両委員会と県建築士事務所協会県中支部青年部が注目。9月に市水道局や市教委生涯学習課に保存するよう要望した。

 これを受け、市水道局は今月中に予定していた解体工事の発注をいったん保留。市教委生涯学習課も歴史的価値に着目し、近く、所有する市水道局と協議する考え。市水道局は歴史的価値が確認されれば「解体を見送る可能性がある」としている。

 文化財に詳しい、日大工学部建築学科の速水清孝教授は「県内の古い水道関連施設で今も残っているものはほとんどない。当時の取水の状況が分かるなど産業遺産の価値もあり、残して(文化財として)登録するべき価値がある大変貴重なものだ」と述べた。

 同青年部会長で、取水場付近に住む渡辺平さん(45)は「郡山市は歴史がないと言われるが、このように明治以降の近代の歴史物もある。子どもたちに地元に魅力を感じ、誇りを感じてもらうきっかけになってほしい」と期待を込める。

 3団体は12月初旬までに、市水道局にポンプ室などの歴史的、文化的価値などを示す調査報告書を提出する予定。また、取水場付近の住民に取水場の価値を啓発する活動を行うほか、年内に保存組織を設立したいとしている。