信夫山公園で愛され...「御山角屋」28日閉店 126年の歴史に幕

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28日で「御山角屋」を閉店する紺野さん(左)と妻の愛さん

 福島市の信夫山公園でそばやユズ料理など郷土料理を提供してきた創業126年の老舗料理屋「御山角屋」が2月いっぱいで、のれんを下ろす。三代目店主の紺野昭治さん(82)と女将(おかみ)として店を切り盛りしてきた妻愛さん(92)の高齢化が理由。参拝者や市民から愛された老舗の閉店で、同市の観光地の一つ信夫山から郷土料理を振る舞う店が姿を消す。

 信仰の山だった信夫山で1890(明治23)年、田楽などを販売する店として創業。山に入ってすぐの護国神社の近くに店を構えた。紺野さんは元々教師。36歳で店を継ぎ、夫婦二人三脚で店を育ててきた。愛さんが信夫山の名産ユズを使って考えた料理、そして紺野さんが独自に学び、「何もしないと(妻に)追い出されそうだったから」と笑いながら振り返るそばの味が評判となり、多くの市民に愛されてきた。紺野さんは現在、県食品衛生協会の会長も務める。

 夫婦で80歳を過ぎ、店では弟子が包丁を振るう。しかし、「これ以上、店を続けるとお客さまが満足できる料理を提供できなくなるんじゃないかと考えるようになった」。紺野さんが閉店を決めた理由だ。

 店を任せようと思っていた弟子の一人は原発事故後、子どもの健康を案じて福島を離れた。信夫山名物のユズは事故から6年が近づく今も出荷が制限され、店で出すユズも県外産だ。紺野さんは「客足こそ震災前に近づいてきたが、地元食材を使えないことも閉店理由の一つ」と打ち明ける。

 閉店を決めてから、多くの惜しむ声が寄せられた。それでも愛さんは「もう私たちは年寄り。さみしさはあるが、店の質は落としたくない。ご愛顧いただいた方々に感謝したい」と話す。27日は定休日で、28日が最後の営業となる。仕出しは今後も続ける予定という。