浪江復興の『新ステージ』へ 避難解除容認、賛否に揺れる町民

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政府が提案する3月31日の避難指示解除を受け入れ、復興の新たなステージに立つ浪江町=24日、浪江町中心部上空

 東京電力福島第1原発事故に伴う浪江町の避難指示で27日、町は政府が提案する3月31日の一部解除を容認した。「一日も早く帰りたい」「解除は時期尚早」。町民から賛否の声がある中、馬場有町長は歩みを止めず、復興の新たなステージに向かって突き進む決断を下した。

 二本松市の借り上げ住宅で生活する山田篤子さん(69)は町への帰還を心待ちにする。「浪江に来ると気持ち的に楽になる。不便でも何とかなる、大丈夫」と自分に言い聞かせる。一方で、町民の中には避難指示が解除されても戻らないと決めた人や、すぐには帰れない人がいる。同市の仮設住宅で自治会長を務める鎌田優さん(69)は「町民の気持ちは揺れている。解除は時期尚早」と話すなど、解除への不安の声があるのも事実だ。

 「6年間、耐えがたき避難生活を忍んでこられた町民の苦労を思うと、心が痛む。『ふるさと浪江をなくしてはならない』というのが皆さまの声」。町議会全員協議会で、馬場町長は感極まった。県内外で住民懇談会を開き、町民からの意見を正面から受け止め、解除の判断を冷静に熟慮したことを明かした。

 町内では壊れたものを直す「復旧」作業に大方めどがつき、最低限の生活インフラも整備されつつある。「帰れる人から町へ帰り、先駆者となって、官民協働で道を切り開いていかなければならない」と馬場町長。4月からは大半の町職員が二本松市の町二本松事務所から浪江町の本庁舎に戻り、町民の生活ニーズに応える体制を整え、町民とともに歩んでいく覚悟だ。

 今回の避難指示解除はスタートラインにすぎず、町土の8割を占める帰還困難区域が残っている。馬場町長は「一足先に復興の歩みを始めた地域が町全体の復興をけん引し、帰還困難区域の再生の道筋を早期に描き、町全体を『ふるさと』として取り戻す日を全力で目指す」と力を込めた。