きれいな生田斗真の魅力を... 映画「彼らが本気で編むときは、」

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おぎがみ・なおこ 1972(昭和47)年生まれ、千葉県出身。長編劇場デビュー作「バーバー吉野」(2003年)でベルリン国際映画祭児童映画部門特別賞を受賞。その後「かもめ食堂」(06年)「めがね」(07年)がヒットし、海外映画祭にも出品される。「彼らが本気で編むときは、」(17年)はベルリン国際映画祭テディ審査員特別賞を日本映画で初めて受賞。

 「かもめ食堂」の荻上直子監督が5年ぶりにメガホンを取った映画「彼らが本気で編むときは、」が現在公開されている。生まれつきの性別に違和感を持つトランスジェンダーとその恋人、そして孤独な少女の共同生活を描いた本作は日本公開を前に、ベルリン国際映画祭で優れたLGBT映画に贈られるテディ審査員特別賞を受賞。海外でも高評価を得ている。キャンペーンで東北を訪れた荻上監督にインタビューした。

 ―オリジナル脚本を映画化した。製作の経緯は。
 「昔アメリカに住んでいたころは、ゲイの友人がたくさんいた。しかし日本に戻ると、セクシュアルマイノリティーの人たちとほとんど会わなくなることに違和感を感じていた。そんな時、ある母親がトランスジェンダーの息子のために、胸に付ける『ニセ乳』を一緒に作ったというエピソードを新聞で読んだ。衝撃を受け、本人に取材したりして脚本を書き上げた」

 ―親子の関係や家族の在り方など、普遍的なテーマも描いている。
 「さまざまなタイプの母と子の関係を描きたかった。トランスジェンダーに限らずいろいろな人がいていいはずだし、家族の在り方も決め付ける必要はない。女性の心を持っているがゆえに母性に目覚めることなど、母親になった自分の視点も入っている」

 ―トランスジェンダーのリンコを生田斗真さん、その恋人を桐谷健太さんが演じた。
 「リンコをきれいに撮りたくて、『人間失格』での美しさが印象的だった生田さんに演じてもらった。外見や女性的な所作はもちろん、役柄を自分のなかに落とし込んできてくれて、ますますきれいになっていった。桐谷さんは体格が大きくて男の色気がある。生田さんと共演経験もあり、頼られ、支えようとする関係性が演技にも表れている」

 ―トモ役の柿原りんかさんの演技も光る。
 「トモ役には新人を起用したくて、たくさんオーディションをやった。脚本を読んでもらったなかで、圧倒的に上手だったのが彼女。現場でも勘の良さが抜群だった。10~20年後も活躍できる女優になると思う」

 ―3人がトモの母と対峙(たいじ)するシーンは濃密だった。
 「役者も自分も力を入れて臨んだ。カットを割って役者をアップにしたり、BGMを入れたりすることもできたけれど、あえて1カットで撮影した。役者が一つになれば大切なことは伝わると思った」

 ―読者にメッセージを。
 「撮影中にどんどんきれいになっていく生田さんの魅力を、惜しみなく出そうと思った。それが映像から伝わるはずなので、ぜひ楽しんで見てください」

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 県内ではフォーラム福島で上映中。