【農の挑戦】まるせい果樹園・佐藤清一さん 国際基準で信頼築く

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さとう・せいいち 福島市飯坂町出身。福島農蚕高(現福島明成高)卒。農林水産省農業者大学校落葉果樹研修所などを経て就農した。約8ヘクタールの農園でモモ、サクランボ、ブドウ、ナシ、リンゴ、カキなどを生産。妻ゆきえさん(46)はJGAPの指導員、審査員補、内部監査員の資格を持つ。47歳。

 2020年東京五輪・パラリンピックの食材調達の基準案に盛り込まれ、注目が集まるGAP(農業生産工程管理)の第三者認証制度。国際的な基準「グローバルGAP」を取得したまるせい果樹園(福島市)社長の佐藤清一さん(47)は「生産工程のマニュアル化で、漠然としていた仕事の流れが具体的に見えるようになり、より良い農場へと継続して改善に取り組める」と認証取得の意義を語った。(聞き手・報道部 本田武志)

 生産工程を『見える化』

 ―第三者認証を取得したきっかけは。
 「震災と原発事故後の2011(平成23)年12月、放射性物質検査の補助事業を請け負っていた日本GAP協会からGAPの存在を教えられた。生産した果物を自分で安全・安心、おいしいと言うのは簡単だが、第三者に評価してもらうことで、原発事故に負けないお客さまとの信頼関係をつくろうと取得を目指した」

 ―認証を得て、生産現場はどう変わった。
 「13年6月に(国内基準の)『JGAP』を取得、昨年12月には『グローバルGAP』を取得した。どちらも審査項目は120ほどあった。自分が何をすべきか、仕事の流れが明確になり、従業員の意欲向上につながった」

 改善継続が意識変える

 ―第三者認証の取得には多額の費用がかかる。取得の費用対効果は。
 「第三者認証を取得したからといって、農産物が高く売れるわけではない。しかしGAPをしっかりと勉強して、ルールに沿って常に改善に取り組むことで、農場に必要なものとそうでないものが明確になり、無駄な資材などを買わなくなる。また、認証継続のための審査を受けることで従業員の意識が上がる。結果として無駄がなくなり、取得経費を十分に補える」

 ―「JGAP」の認証取得は難しいか。
 「GAPを知る以前から農園の作業マニュアルを作り、役割分担するなどこれに近い取り組みを行っていた。JGAPの取得に向けては、妻がJGAPの指導員の資格を取り、農園をその基準書に当てはめ、作業マニュアルを見直した。取得がすごく難しいというわけではないが、通常の農園経営に加えてしっかり勉強する時間が必要。重要なのは、認証を取得して終わりではなく、その後の改善の努力だ」

 ―東京五輪への食材提供や輸出など今後の目標は。
 「東京五輪・パラリンピックへの果物の提供は、この農園で生産された果物の安全性やおいしさを証明することにつながり、自信になる。ぜひ提供したい。輸出については、利益を出すのに相当量を確保する必要があるため具体的な考えはないが、輸出に対応できる体制は整えておく必要はあると考えている」

 ―目指す農園の姿は。
 「第三者認証取得の努力を認めてもらうことで、復興支援でできた新たなお客さまとの取引の継続につながっている。農業を地域が誇る産業として残していくため、お客さまにとっても、従業員にとっても安全で信頼でき、親しんでもらえる農園にしていきたい」