【農の挑戦】コメ農家・加藤晃司さん 大規模化で農地守る

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かとう・こうじ 福島市大笹生出身。流通経済大経済学部を卒業後、スポーツジムやコーヒー店、建築業などでの勤務を経て30歳で就農した。2014(平成26)年12月に農業法人カトウファームを設立。妻の絵美さん(35)が専務を務める。復興庁の福島フードファンクラブ「チームふくしまプライド。」のメンバー。37歳。

 高齢化や農業収入の減少などによる農業離れ、遊休農地の増加が深刻化する中、100ヘクタール規模の水田でコメを生産する大規模経営体(メガファーム)を目指すカトウファーム(福島市)社長の加藤晃司さん(37)は「祖父が地域から請け負った農地を荒らすわけにはいかない」と、新たな担い手として地域農業を守る決意を語る。(聞き手・報道部 本田武志)

 目標は100ヘクタール、雇用を創出

 ―果樹生産者が多い福島市大笹生地区で、コメ専業で就農したきっかけは。
 「約20年前、大笹生地区などで国や県による基盤整備が進められ、祖父が地域の水田農業を請け負ってきた。その祖父が高齢で農業を引退する時に、これまで地域の水田農業を請け負ってきた責任があるのではないかと感じて就農した」

 ―現在の作付面積と、今後の目標を。
 「2010(平成22)年度はコメ12ヘクタール、ソバ7ヘクタールだった。16年産はコメのみで約35ヘクタールを作付けした。将来は100ヘクタールを作付けできるようにし、地域に雇用を創出するのが目標だ。規模拡大の推進でこの地域のブランド力を上げ、若者にとって農業法人が魅力的な就職先になるように頑張りたい」

 「天のつぶ」ブランド米に

 ―法人化した理由は。
 「農業が衰退する原因の一つに、何百万円もするトラクターやコンバインなどの買い替えで勝手に息子や孫の名義を使うような実態がある。コメ生産に農業機械の更新は欠かせないが、私もそれが原因で祖父と言い合いになったことがある。法人組織としての信用で金融機関からきちんと融資を受け、農業を継続するために法人化した。法人としての雇用で後継者も確保しやすくなる」

 ―雇用創出に向けた課題は。
 「雇用を生み出すには利益をしっかり上げなければならず、規模拡大に合わせて販売強化も必要。サラリーマンと違う農業をどう給料に換算するかも課題だ。一方、稲刈りはナシやリンゴの収穫期の間に当たるため、繁忙期が重ならない。雇用した人材を果樹農家の繁忙期に派遣してやりくりできると考えている」

 ―コメの販売戦略は。
 「福島でしか作れない水稲品種『天のつぶ』の生産に力を入れ、真剣においしさを追求している。最近のブランド米はおしなべてもちもち感を売りにしているが、粒がしっかりした天のつぶは『めっちゃ硬くてうまいです。汁物や卵かけご飯に合います』と売り込みやすい。(作付けしている)35ヘクタールの半分を占める飼料用米も天のつぶを作っている。おいしい天のつぶで最高級和牛が育てられれば、天のつぶの価値も上がるのではないか。ブランド化できるかどうかは、見る角度を変えられるかどうかだ」

 ―地域農業の振興への取り組みは。
 「冬場の2カ月間、果樹農家は剪定(せんてい)などで忙しいが、コメ農家は営業に専念する時間がある。果樹農家と連携して6次化商品を作り、地域農業を盛り上げたい。『農業で頑張って大変だね』と言われる地域ではなく、もうかる農業で魅力的な地域にしていきたい」