「あぶくま茶屋」閉鎖...帰村や自立へ 避難の女性農業者ら運営

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阿武隈地域の伝統食を伝え続けた渡辺さん(左)と細杉さん

 東日本大震災と原発事故で飯舘村などから避難する女性農業者らが運営する福島市松川町の「あぶくま茶屋」が今月いっぱいで閉鎖する。避難者の立場で復興への情報発信を続けてきた「かーちゃん」たちは、今月末の避難指示解除を機に帰村や自立などそれぞれの道に歩み出す。

 運営の中心を担った同村の渡辺とみ子さん(63)は「次に向かう一つの区切りになるはず」と話す。茶屋は渡辺さんが理事を務めるNPO法人「かーちゃんの力・プロジェクトふくしま」が2011(平成23)年に開設した。会員の多くは避難する女性農業者。避難中にもかかわらず茶屋を拠点に阿武隈地域の伝統食を伝える「あぶくま食の遺産継承プロジェクト」や同村産の「いいたて雪っ娘かぼちゃ」栽培など、精力的に活動してきた。避難生活の中での継続した活動が生きがいとなり、渡辺さんと共に茶屋を支えた同村出身の細杉今朝代さん(61)は「6年間の歩みは何があっても生かされる」と振り返る。

 渡辺さんにとっても「あっという間の6年」だった。13年から3年間にわたり行った「食の遺産継承プロジェクト」には、地元伝統食と「かーちゃん」の歴史を残すという強い思いがあった。埼玉県の高校生など県外の人々とも交流を深め、郷土の食文化を伝えた。それでも茶屋の閉鎖を決めたのは「一人一人の自立のため」と話す。

 渡辺さんの古里飯舘村は帰還困難区域の長泥地区を除いて31日に避難指示が解除される。「戻る、戻らないそれぞれの立場はあるが、古里に寄せる思いはみんなある」と、茶屋の閉鎖に合わせて自らも同NPOの活動から卒業する考えを仲間に伝えた。解除後は、福島市の畑で村特産のカボチャ栽培を続けながら、村の畑の再興に向けた準備を進める。「何年先になるか分からないけど、飯舘から雪っ娘かぼちゃを発送できれば心残りはないかな」