福島医大、がん治療「核種」製造に成功 20年度にも臨床試験へ

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 福島医大は29日、がん治療に使う放射性核種「アスタチン」の製造に成功したと発表した。体内に投与し、がん細胞に直接放射線を照射する「放射性同位元素(RI)内用療法」に使う放射性薬剤の材料となる。2020年度にも人を対象に臨床試験を始めたい考え。

 アスタチンはアルファ線を放出する半減期約7時間の放射性核種。同大の先端臨床研究センターにある住友重機械工業製の最先端機器「サイクロトロン」を使って製造した。昨年から製造試験を行ってきたが、医療応用に適した品質を必要な量だけ製造することに成功した。治療法が確立していない希少ながんを中心に、標的とするがんの選定を進める。

 RI内用療法は、放射性核種を特定のがんに集まる物質に付けて放射性薬剤とし、体内で直接がん細胞を攻撃する。正常な細胞に与える害が少ないため、治療の副作用が少ないメリットがある。

 医大によると、アルファ線核種を使ったRI内用療法は国内では、前立腺がんが骨転移した際に使用される1種類が承認されているのみ。欧州、米国ではアルファ線核種を利用した臨床試験が行われている。

 アスタチン製造を担当する稲野彰洋臨床研究・治験ユニットリーダー(45)は「RI内用療法を巡っては国際的に競争状態にある。医大には日本を代表する設備が整っているので、責任を持って開発を進めたい」と意欲を語った。「治療法が確立し多くの患者に適用されるようになれば、新たに製造施設が必要になり、地元の雇用拡大にもつながり得る」とも述べた。