雪山登山注意! 事故防止へ専門家、正しい知識と万全の装備で

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総重量が約25キロになる佐藤さんの雪山登山の装備一式。遭難や救助、けが人を運ぶ場合など、あらゆる事態を想定して準備する

 安達太良山で3月27日に登山者2人が雪崩に巻き込まれて遭難、1人が死亡し、本県に隣接する栃木県那須町でも雪崩で高校生ら8人が犠牲になるなど、相次いだ雪山の事故。春山シーズンを迎えるが、山々にはまだ雪が残る。登山の専門家は「正しい知識と万全の装備で臨んでほしい」と、雪山での事故防止へ注意を呼び掛けている。

 安達太良山の遭難者は吹雪の中で迷い、自分で報告した所在地と、ヘリコプターでの捜索で発見された地点が1キロ以上離れていた。捜索に協力した、猪苗代山岳会メンバーで登山歴45年、登山ガイドも務める佐藤静二さん(67)は「悪天候で地上捜索しかできない場合、発見できなかった可能性がある」と述べ、「安全な登山には正しい知識と経験、万全な装備が必要」と訴える。

 現代の登山では、所在地や崖などの危険箇所を見極めるために携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)機能や、山歩き地図のスマートフォンアプリが力を発揮する。

 佐藤さんは「安易に頼みにしてはいけないが、知識や経験を補う材料になる。遭難した場合の捜索にも正確な位置把握は重要」と所持を勧める。

 春山は雪崩の危険性があり、気温上昇や雨で雪が緩むと地表ごと滑り落ちる全層雪崩が発生しやすいため、崖の下や急斜面は避けて歩かなければならない。

 雪に埋まった場合、佐藤さんは「呼吸確保のための勝負は15分間」と指摘。雪を掘るスコップ、埋まっている場所を電波で知らせる送受信機「ビーコン」、雪に刺して人を捜す棒「プローブ」の「三種の神器」を登山者が互いに持つ必要がある。スーパースポーツゼビオ西ノ内店(郡山市)では3万~5万円台のビーコンを販売しており、雪崩事故後に問い合わせが増えている。

 深い雪の場所を歩くにはスノーシュー、雪渓など氷がある場所ではアイゼン、ピッケルなど、状況に合わせた装備も必須だ。佐藤さんの雪山登山装備の重量は20~25キロになるが「過酷な状況で命を守るためには当然の量。装備を背負えなくなったとき、雪山を引退する覚悟だ」と語る。

 実力に自信がなければ、ガイドの同行で経験や知識を補うこともできる。登山用品などを扱うスポーツランド本店(福島市)の斎藤史央社長(45)は「雪崩以外にも、道に迷い遭難する、雪渓下の川に転落する、低体温症になるなど雪山の危険はある。機器を過信せず、地図とコンパスの使い方をしっかり学ぶことが大前提」と警鐘を鳴らしている。