『海の幸』古里への思い 福島の良さ発信、いわき出身・佐藤さん

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「四代目庄次平」の店名で、料理店を経営する佐藤さん=東京千代田区

 「いわきの魚を食べて」。東京都千代田区岩本町の料理店「四代目庄次平」を経営する佐藤武信さん(54)は、新鮮な魚料理のメニューが自慢だ。いわき市出身だが東日本大震災で被災し、東京に移住。しかし古里への思いは変わらない。

 「福島の食材を東京で発信したい」

 佐藤さんは、いわき市江名で長年、魚を買い付け、東京の料理店などに卸す仲買人をしていた。しかし震災による津波で、江名漁港にあった冷凍工場などが被災。原発事故の影響で同市で水揚げができなくなり、仕事がなくなった。

 得意先の誘いで2011(平成23)年4月に上京。築地で偶然、かつての父の仕事仲間に出会い、築地で仕入れ、都内の店に納める仕事を始めた。

 さらに得意先の料理店の従業員だった人に20年ぶりに再会。その人は現在、都内で20店舗以上、飲食店を経営する社長で、「うちの全部の店で魚を仕入れる」と後押しされ、東京で仕事を続けた。

 「出会いで人生が変わった」と佐藤さんは感謝する。

 その社長の勧めで、15年6月、岩本町に店舗を借りて料理店をオープン。店は実家の屋号「庄次平」と、14年前に亡くなった4代目の父にちなんだ名前にした。

 「父の仲間に出会い、今がある。後押しされた気がした」と佐藤さん。店の売りは、自分で仕入れた新鮮な魚の刺し身と炭火焼きした魚、そして福島の地酒。最近は県内の漁港で水揚げされた魚も出している。ランチ営業もしていて魚の定食が人気。佐藤さんも自ら店頭で、弁当やサバサンドを売る。

 賃料や人件費など経営は楽ではない。それでも「やっぱり、古里の魚が一番。『おいしい』と言ってもらえる料理を出し続けたい」と意気込む。