福島大農学系教育研究組織設置準備室長・生源寺真一氏が抱負

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しょうげんじ・しんいち 名古屋市出身。東大農学部農業経済学科卒。農林省(現農林水産省)農事試験場研究員、東大大学院農学生命科学研究科教授、名古屋大大学院生命農学研究科教授などを歴任。東大で大学院農学生命科学研究科長・農学部長を務めたほか、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会長や生協総合研究所理事長などを務める。専門は農業経済学、フードシステム論、農業政策論。65歳。

 福島大に2019年に開設される食農学類(仮称)を担当する農学系教育研究組織設置準備室長に1日付で着任した生源寺真一氏(65)は12日、同大の定例記者会見に出席し、「農林省(現農林水産省)の試験場勤務など農業の現場に近い仕事をした経験があるほか、東大では研究科長・学部長として教員と学生を束ねるという仕事をした。こうした経験を生かし、食農学類が良い形でスタートできるよう尽くしたい」と抱負を述べた上で、記者団の質問に答えた。

 農業現場に近い研究を やる気高める体制必要

 ―どのような学類にしていきたいか。
 「私の大学での経験上、学生は1年生として入った段階では非常に意欲が高いが、徐々にそれがなえていく傾向がある。最初から最後まで一貫して学生のやる気を引き出し、高めるための体制が必要だと思う。また、農業の現場から問題を掘り起こし、現場との対話を通じて解決の方策を考えるような研究、教育を心掛けていきたい。福島県が農業のレベルが高い県であることを踏まえた研究、教育をしていきたい」

 ―食農学類の特色をどう見ているか。
 「食農学類の食品科学、作物・栽培学、生産環境学、農業経営学という4領域の構成は、明治から昭和にかけて農学が発展してきた時代の構成で、農学部として伝統的な組み立てを現代風に再現しようという思いを感じる。前任の名古屋大の農学部では生命科学分野が大きな強みになっているが、それに比べて食農学類は奇をてらわずオーソドックスだ」

 ―これから取り組むことは。
 「私としては、チェルノブイリ原発事故で被害を受けたベラルーシに調査に向かいたい。原発事故後の農業再生への取り組みは長期戦になるので、30年以上たっているベラルーシの経験を聞くことは意味があると思う。放射性物質対策やリスクコミュニケーション、風評被害対策を進めていきたい」

 ―根強く残っている風評被害についてどう捉えているか。
 「一部の方は『ゼロリスク』を求めるという、いわば一種の信念を持っている。そういう方の考えを変えるのは難しいと思う。一方で、漠然とした不安を抱えている人に対しては、放射能とは実体のあるものなので、それが今どうなっているのかという情報をきちんと伝えていくことは必要だと思う」