いわきで再起...大堀相馬焼『新工房』 近藤さん親子が6年ぶり

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素焼き前の作品の状態を確認する学さん(左)と賢さん

 東京電力福島第1原発事故で浪江町からいわき市に避難し、作陶に取り組む大堀相馬焼・陶吉郎(とうきちろう)窯の陶芸家近藤学さん(63)と長男賢さん(36)は、再起を懸け同市四倉町に新たな工房を構えることを決めた。29日からは避難先の同市江畑町の仮の工房で、6年ぶりに親子で作品展を開き、同市を拠点に活動することを広くアピールする。

 「産地を離れるのは致命傷。浪江町を離れるのに、大堀相馬焼を名乗れるのか」。産地以外に本格的な拠点を設けることに葛藤を抱えつつ、より充実した環境で作陶に打ち込み、大堀相馬焼を継承するために下した苦渋の決断だった。

 同町の学さんの工房は、福島第1原発から10キロ圏内。被災したのは、賢さんが美大卒業後、栃木県益子町で修業し、学さんの工房に入って親子での出発を果たした直後だった。2011(平成23)年6月、学さんは避難先のいわき市江畑町の一軒家に工房を構え、賢さんも市内に移り、親子での作陶を再開した。

 いわきか浪江、または別の場所か―。避難生活が長引く中、本格的な拠点をどこに設ければいいのか悩んだ。避難先でも作陶はできる。学さんは、13年に日本現代工業美術展でNHK会長賞を受賞。賢さんも、14年の同展で現代工芸大賞を受賞するなど避難後も実績を残してきた。しかし、あくまで即席の工房。設備不足は否めず、学さんらは新たな拠点を探し続けた。

 同市四倉町に設ける拠点は、閉館していた私立美術館を自宅兼工房に改装し、本年度末までに開く。学さんは「浪江を離れることに葛藤はあるが、300年以上の伝統を持つ大堀相馬焼をやめるわけにはいかない。新たな工房で商売が成り立つか不安はある。でもやれる自信もある」と意欲をみなぎらせる。

 6年ぶりの作品展では、新作の食器や公募展の入選作品など約500点を展示・販売する。作品展は29日~5月7日の午前9時~午後6時。