5代目・福島丸...『最後の海』 いわき海星高の遠洋航海実習船

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思い出話に花を咲かせる桑原さん(左)と鈴木さん

 いわき海星高生徒の練習船「福島丸」は27日、最後の遠洋航海実習へ向け出航する。これまでに福島丸で実習を積み、育てられた乗組員たちは「育ての親」の船とともに、最後まで安全な航海で生徒を成長させ、福島丸を送りだす決意だ。

 現在の福島丸は5代目で、1998(平成10)年に就航。これまで約19年にわたり、生徒を"育てた"船は老朽化のためその役目を終え、6代目が新調される。自身も同校生徒時代、5代目に乗って遠洋航海実習に取り組んだ、乗組員で2等機関士の鈴木麗央さん(25)は「福島丸は自分の恩師で育ての親のようなもの。別れは少しさみしい」と船体をさすりながら心境を話した。本年度に県職員として採用され、乗組員としては最初で最後の5代目乗船となる。2008年、海洋工学科2年生のとき、初めての航海に参加。最初は船酔いがひどく、「船なんてもう嫌だ」と思ったという。しかし、日がたつにつれ、海の雄大さや船の機関を操作する面白さ、友人とのかけがえのない時間を味わえた。

 同校生徒時代に4代目の初の遠洋航海実習で乗船した、船長の桑原茂樹さん(47)は、5代目就航当時から乗組員として生徒たちを見守ってきた。「指導者としては、5代目就航時は未熟だった。"新人"だった5代目とともに、人間的にも成長できた」と、思い出が詰まった船体を見つめる。桑原さんは「麗央のように、生徒たちがまた地元に戻り、水産関係の復興に携わってくれればうれしい」と話す。

 27日に最後の出航後、61日間の航海で米国ハワイ州を経由し、6月26日に小名浜港に帰港する予定。桑原さんは「安全第一、平常心で指揮を執りたい」と話し、成長した教え子と、船員の卵たちと共に最後の航海に臨む。