吉野さん...『立て直して』 被災地住民「官庁はもう一度原点に」

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本県沿岸部の津波被災地では今なお復旧工事が進められている。復興道半ばの中で、復興庁への視線が厳しくなっている=26日、南相馬市原町区上渋佐

 震災被災地の現状を顧みない復興相の発言が、辞任につながった。新復興相に本県選出の吉野正芳さん(68)=衆院福島5区=が就き、被災地住民からは「実情を理解しており、適任だ」との声があった。一方、復興の旗振り役として存在している官庁での度重なる問題に「もう一度原点に戻ってほしい」と注文も。被災地からの視線は厳しさを増している。

 「復興庁の風土を改善してほしい」。飯舘村から福島市に避難する会社員渡辺富士男さん(63)は、復興庁に被災者の気持ちを軽視するような言動が散見されるとして、「(吉野さんには)被災地の気持ちを大事にしてほしい」と求めた。浪江町の建築資材メーカー社長朝田英信さん(67)は「なぜ今まで浜通りの人が復興相にならなかったのか。復興相という地位をどう考えているのか」と指摘した。

 「復興相に限らず、ほかの閣僚や国会議員、国の役人はもう一度被災地の現状を認識すべきだ」。中間貯蔵施設予定地の地権者でつくる「30年中間貯蔵施設地権者会」の門馬幸治会長(62)=大熊町からいわき市に避難=は、当事者意識を持つよう注文を付けた。復興は道半ばで、特に本県は原発事故による苦しみが続いている。「国が一丸となって東北の復興を優先しないと前に進まない。一層気を引き締めて仕事に当たってほしい」と訴えた。

 3月31日と4月1日、浪江町、川俣町山木屋、富岡町、飯舘村で、帰還困難区域を除き避難指示が解除され、これらの町村は復興の新たなステージに向かう。川俣町山木屋地区自治会長の広野太さん(67)は「避難指示が解除されたこれからが本当に大事な時期」とし、復興庁について「もう一度原点に戻り、新たな発想で復興を進めてほしい」とくぎを刺した。

 福島の実情を知る本県出身者では2人目の復興相。葛尾村の農業白岩寿喜さん(70)は、失言が続いた後の大臣就任は「大変な重責」としつつ復興への尽力を願う。南相馬市小高区に住む佐藤邦夫さん(72)、吉野さんの地元・いわき市の団体役員緑川恵男さん(75)は「(吉野さんは)同じ被災者で被災地の実情をよく理解している」と期待を示した。