葉タバコ産地...『禁煙の潮目』 5月1日から田村市内・公共施設

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市常葉行政局の駐車場脇に設置されている灰皿。5月から公共施設の建物内は全面禁煙になる

 田村市は5月1日から、公共施設の建物内での喫煙を全面禁止する。全国的に公共施設や飲食店などで「禁煙」「分煙」が進む中、国内有数の葉タバコ産地の同市でも市民の健康増進や受動喫煙防止のため"決断"を迫られた格好だ。一方、地元産業を支えてきた葉タバコ生産者などからは「多様な分煙環境の整備を」との声が上がる。

 市保健福祉部によると、同市の喫煙率は全国平均を上回り、2014(平成26)年度の健康増進計画アンケートでは男性の33.3%が喫煙者で、12年度の健診調査では妊婦の8.5%が「たばこを吸う」と答えた。

 市民の健康増進が課題となる中、4月の市長選で初当選した本田仁一市長も早速動いた。自身も電子たばこを利用しているが、選挙戦で訴えた「田村市大改革」の第1弾として、17日の初登庁後の訓示で、建物内禁煙を指示した。

 松本広行同部長は今回の措置について「煙を吸いたくないという人の意思を尊重したい。吸わない人の健康を守るのが目的」と説明する。05年の町村合併に伴い建てられた市役所本庁舎にも「分煙」の喫煙室が3カ所あった。今回の措置で医療、文教施設など既に「禁煙」措置の施設を除く47施設が新たに加わる。

 一方、同市は葉タバコの一大生産地で、旧船引町はかつて20億円超の販売額で日本一になった。市内の葉タバコ生産は東京電力福島第1原発事故の影響で11年に全面休作となったが、12年以降は産業の柱の一つとして復興途上。徹底した放射性物質検査などの末、昨年は全県的に放射性物質の基準値超えがなくなり、「ようやく一歩前に進めた」(県たばこ耕作組合幹部)状況だ。販売額でも同市は15年、全国10位に回復した。

 地元の葉タバコ生産者は「市庁舎の喫煙室設置は、分煙の先進的な取り組みだった」と表情を曇らせる。同組合の佐々木信長参事は「喫煙者と非喫煙者が、互いに気持ち良く過ごせる環境が必要では」と指摘。同組合は個室やフロア(階)、時間帯などで区切る、多様な分煙策の実現を訴える。

 また、市のたばこ税の税収は11年度2億7500万円、16年度2億9700万円と商品値上げの影響も受け増加傾向にあり、今後の市民のたばこ離れは市財政に影響を及ぼす懸念もある。市内で生活雑貨店を営む女性(71)は「高い税金を払っているのにという気持ちもあるが、全国的な流れなので仕方ない」と声を落とした。