「天蚕」で地域振興へ 伊達・霊山の団体、将来の法人化視野

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りょうぜん天蚕の会が展開するさまざまな商品

 福島県伊達市霊山町の任意団体、りょうぜん天蚕の会は日本古来の野生の蚕「天蚕」を通じた地域振興に取り組む。将来的な法人化も視野に、産業化を目指している。

 同市霊山町はかつて、日本初の養蚕伝習所が設立されるなど養蚕業で栄えたが、海外の安価な製品に押されて衰退、桑畑の多くが遊休桑園となっている。同会は遊休桑園の活用と伝統継承を目的に2005(平成17)年に設立。会員約40人が蚕の飼育から絹糸の加工、商品化まで一貫して行っており、任意団体での一貫した取り組みは全国でも珍しいという。

 昨年収穫した繭は約8千粒。独自に開発した繰糸方法で天蚕糸に家蚕糸を混ぜた「ハイブリッド生糸」を使って商品化を進めており、商品の種類はアクセサリーやショール、着物など幅広い。ショールは天蚕の割合に応じて価格が変わり、1枚1万9800円~15万円。普通の絹製品の約20倍と高価だ。

 事業の考案者でもある八島利幸事務局長(80)は「貴重なものだからこそ需要は少なくない」と説明する。09年の事業全体の売り上げは年間約70万円だったが、現在は倍以上になった。買い求める人は多く、「繭を売ってほしい」との業者からの問い合わせもある。3月からショールやハンドバッグなど7品が伊達市のふるさと納税の返礼品となり、申し込みがあったという。

 事業の売り上げは次年度の運営資金を除き、会員に全て還元している。「多くはないが、お金になること、また自分たちで一貫して商品化まですることで会員に誇りが生まれる」と八島氏。認知度をさらに高め、かつて日本有数の生糸産地だった霊山町の名を再び全国に広めようと意気込む。