福島県産最高級米で復権 23年にも流通、新品種「特A」目指す

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 県は本年度、本県オリジナルの最高級米の開発に向け、有望視される2系統を対象に選抜の最終段階に入る。順調に進めば、2020年度にも種子農家での種子増殖が始まり、23年ごろ流通する見込み。全国で次々と生まれる高価格帯米の市場に、コシヒカリに代わる新品種を投入。原発事故で低下した県産ブランドの復権をけん引させたい考えだ。

 新品種開発は、JAグループ福島が農家らの協力を得て集めた寄付金を活用し、2010(平成22)年にスタートした。全国のブランド米との競争を制するには、日本穀物検定協会の食味ランキングで最上級の「特A」を獲得する品質が求められる。新品種として有望視される2系統とも、コシヒカリよりも良い食味であることが確認されている。

 さらに、県農業総合センター(郡山市)の職員のみだった食味官能試験に、品質や特徴などに精通した「お米マイスター」の資格を持つ民間業者らを初めて加え、プロの目線で厳しく品質を評価する。開発の最終段階となる「奨励品種決定調査」では、収量や病害虫への耐性なども見極める。

 県産ブランドの復権に向けては、一刻も早い新品種開発が求められる一方、中途半端な品質では全国のブランド米の返り討ちに遭う。県は「新品種には全国のブランド米と勝負できる実力が必要。打ち上げ花火のように一瞬で終わるのではなく、市場の信頼を勝ち得る新品種をしっかり育てたい」(農業振興課)と意気込む。デビュー後は高い品質を確保するため、生産農家は登録制とする方針だ。

 県によると、トップブランド「会津産コシヒカリ」の価格は震災前、全国でも高い水準だったが、16年産は全国平均を下回った。コシヒカリへの全国的な需要の落ち込みに原発事故の風評が輪を掛け、安定した価格形成が難しい。

 さらに、消費者のコメ離れが進む中、高級米だけの生産で農業所得が向上するとは限らず消費量が増加傾向にある弁当などの中食、外食など多様な市場ニーズにも応える必要がある。

 県は、新品種を県産米のトップブランドに位置付け、コシヒカリやひとめぼれ、良質ながら手頃な価格の県オリジナル品種の「天のつぶ」や、今年デビューする「里山のつぶ」の販売促進につなげる戦略だ。