「梵鐘の音」復活へ 戦中の供出から75年...福島の大福寺

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鐘楼堂を再建し、梵鐘の音の復活を心待ちにする祐弘住職

 太平洋戦争中の鉄資源不足による供出で、約75年間失われていた福島県福島市の真言宗豊山派「大福寺」(熊坂祐弘住職)の梵鐘と鐘楼堂が再建された。落慶法要が29日に行われる予定で、梵鐘の音が復活する。

 同寺は室町時代の創建とされ、同市内でも有数の古刹(こさつ)。梵鐘は1942(昭和17)年12月に供出し、鐘楼堂も撤去された。祐弘住職(63)の父で前住職の故祐昌さんは常に再建を願っていたが、本堂大改修や庫裏建築などが重なり実現できなかった。

 祐弘住職も父の思いを受け継いだが、東日本大震災の発生で実現は困難な状況となった。しかし、震災を契機に「多くの犠牲者の供養のためにも必要」と再建を強く意識。一昨年に同寺の檀信徒役員会で再建への思いを伝えると、役員らも協力を快諾し、檀信徒から寄付なども集まり始めた。

 梵鐘は、清水寺などの梵鐘を鋳造した京都の会社に依頼した。高さ約210センチ、直径約150センチ、重さ約1.8トンで、県内でも有数の大きさを誇るという。祐弘住職は願文に震災犠牲者の供養や復興、平和への思いなどを込め、梵鐘に記した。鐘楼堂は昨年11月に着工、梁と柱はケヤキ、屋根材にはヒノキを使用している。

 落慶法要では、同宗豊山派県第一号宗務支所の僧侶約20人が読経を行う。祐弘住職による初撞(つ)き式に続き、弘法大師御影供法要、東日本大震災七回忌法要なども行われる。

 祐弘住職は「檀信徒の寄付により、念願だった梵鐘と鐘楼堂が完成した。今後も檀信徒と共に護持発展に努めたい」と話す。供出前まで行われていた除夜の鐘も復活させる。