思い込み上げる『感謝の涙』...バドミントン・桃田賢斗が復帰戦V

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復帰後、初出場となった大会で優勝を決め、涙を浮かべる桃田賢斗=さいたま市記念総合体育館

 バドミントンの日本ランキングサーキット大会男子シングルス決勝が31日、さいたま市記念総合体育館で行われ、違法カジノ店での賭博による出場停止処分が解けた男子シングルスの桃田賢斗(22)=NTT東日本、富岡高卒=が、日本代表で世界ランキング53位の上田拓馬(日本ユニシス)に2―1で勝ち、復帰戦となる大会で優勝を飾った。

 賭博問題の発覚を受けて2回戦を棄権した昨年4月のマレーシア・オープン以来の大会出場。桃田は第1ゲームを21―13で先取し、第2ゲームを14―21で失って突入した最終ゲームは、21―19で接戦を制した。

 一人の練習場...「一番つらい時期だった」

 相手のショットがアウトになるのを見届け、優勝が決まると、両手を掲げた桃田賢斗は静かにコートにひざまずき顔を伏せた。「つらい時に支えてくれた方たちへの思いが込み上げた」。10秒ほどして立ち上がった桃田の目には感謝の涙。実力がありながらも賭博問題で五輪の舞台を失うなど、過ちを犯した過去と決別した姿が、そこにあった。

 公式戦から離れて1年2カ月。出場停止処分を受け、所属チームのメンバーがリーグ戦を戦う中で一人練習場に残った。「一番つらい時期だった」が、それでも腐らず苦手だったランニングや筋力トレーニングに取り組んだ。「頑張れよ」「体を大事にしろよ」。周囲から掛けられた声が桃田の心をつないだ。「ささいな言葉がうれしかった」

 小中高で日本一を経験した。2015年の世界選手権では3位となり男子シングルスの日本勢で史上初のメダルを獲得。世界ランキングは一時2位まで浮上し、リオデジャネイロ五輪ではメダルの有力候補と目された。今後は東京五輪へ期待が高まる。「今の目標は五輪ではなく、応援される選手になること。プレーだけでなく、立ち居振る舞いを見てほしい」。どん底を味わった男が再挑戦の一歩を踏み出した。