野馬追武者を写す『幕末風』 ブラウンさんが東京で湿板写真展

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「福島県でも展示会を開きたい」と語るブラウンさん

 江戸時代末期から明治初期に使われていた湿板(しっぱん)写真の技術で「相馬野馬追」の武者を撮影したエバレット・ケネディ・ブラウンさん(57)=千葉県いすみ市=の写真展「ジャパニーズ・サムライ・ファッション」が6日、東京・スパイラルガーデンで開幕した。

 ブラウンさんは東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生した2011(平成23)年当時、ドイツの通信社の日本支局長だった。「福島はネガティブなニュースばかりだ。地元で頑張っている人を取材したい」と本県入りしているうちに、相馬野馬追の存在を知った。湿板写真の技術を持つブラウンさんは「被写体として最高」と思うと同時に「サムライの文化が残っているというより現代に『生きている』ことに驚いた」と感じ、魅了された。

 関係者の信頼を得て一昨年11月に撮影を実施。湿板写真は、板に薬品を塗り約30分以内に全ての作業を終えないと失敗してしまう。撮影に許された期間は3日、対象は40人。「時間を考えれば失敗は許されない。1000年に1度の地震・津波、原発事故を経験した人たちを歴史に残そうと、こちらもサムライの気持ちだった」と振り返る。

 今年2月に米・ニューヨークで開いた個展は、古い写真のように見えて被写体は現代に生きる人というギャップに、米国だけではなく欧州のメディアからも注目を集めた。ブラウンさんは「海外では福島といえば原発事故。そこに今もサムライがいるのかと取り上げられた。ネガティブなイメージはだいぶ変わったはず」と語る。

 震災と原発事故を経験した県民にブラウンさんは「野馬追の人たちから地域の歴史を次世代に継承する意識を感じた。大変な経験をしたと思うが、そんな時こそ先祖から引き継いだ精神をよみがえらせるきっかけにしてもらえれば。いつか福島で展示をしたい」とエールを送る。

 展示は18日まで、東京・南青山のスパイラルガーデン。入場無料。午前11時~午後8時。