再評価の声「生活工芸運動」 三島推進、地方創生の理念先駆け

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自宅の作業場で山ブドウ細工をつくる二瓶さん

 「地方創生」に向け、人口減少対策や地域活性化の施策が各自治体で展開される中、三島町が昭和60年代から進める「生活工芸運動」を再評価する声が上がっている。過疎・高齢化が著しい奥会津で、地域資源を生かし、手仕事によるものづくりで産業振興と後継者育成を図る運動は地方創生の理念とも重なるためだ。運動の代名詞にもなり、全国から大勢集まる「工人まつり」は10、11の両日、町生活工芸館で開かれる。

 山あいにある同町大登の静かな集落。伝統工芸士の二瓶新永さん(86)は、山ブドウ細工を作るため、自宅の作業場で黙々と手を動かしていた。

 「うまく作れるようになるには10年はかかるね」。約30年前に始まった、工人まつりに初回から出品している二瓶さん。今年も手作りのバッグなど数点を出品する予定だ。

 生活工芸運動は約30年前、当時、町の企画課長だった斎藤茂樹さんらが中心となり始まった。既に過疎・高齢化が進む中、伝統工芸の振興と、技能継承を含めた後継者育成が目的だった。

 有名な観光地などのない、山村での工芸を柱とした地域活性化策は着実に町民に浸透した。2003年には「奥会津編み組細工」が国の伝統的工芸品の認定を受けた。1995(平成7)年、町長に就任した斎藤さんが経済産業省に直談判したことも、指定の大きな後押しとなったという。

 その斎藤さんは5月26日に78歳で他界した。「先進地を積極的に視察するなどとにかく熱心だった」。自宅も近く親交が深かった二瓶さんはその死を惜しみつつ、運動の継承を誓う。