天皇退位特例法が成立 復興歩む福島県民、安堵や気遣う声

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 天皇陛下の退位を実現する特例法が9日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。

 東日本大震災以降、天皇、皇后両陛下は昨年3月まで計5回、福島県を訪れ、犠牲者を慰霊し、復興に歩む県民を励まされた。

 両陛下が2013(平成25)年と15年に本県を訪問された際、言葉を交わした桑折町の果樹農家南祐宏さん(41)は特例法成立に「一人の人間として、もうご高齢。良かったと思う」と安堵(あんど)する。

 両陛下は13年7月、皇室に贈られる「献上桃」の産地の同町を訪問予定だったが、豪雨災害の影響でモモ畑の視察が中止となり、南さんは懇談会で励ましの言葉を受けた。2年後の15年7月、モモ畑の視察は実現し、南さんは両陛下にモモの生育状況などを説明。「頑張ってください」と掛けられた言葉が、農業再生と風評払拭(ふっしょく)に汗を流す南さんの励みになった。南さんは多忙を極める両陛下を気遣い「(退位後には)ゆとりある生活を送っていただければ」と願う。

 13年7月に飯舘村の菊地製作所を訪問された際、工場内を案内し、懇談した同社取締役の高橋幸一さん(55)は「村が早く元に戻れるといいですね」という言葉が印象的だったと振り返る。高橋さんは「言葉のおかげで、くじけずに目標を持ってやってこられた。(退位後は)ゆっくり休んでいただきたい」と話す。

 昨年3月、震災から丸5年が経過した本県の復興状況視察のため、両陛下が三春町の葛尾村三春出張所を訪れた際、村長として村の復興の現状などを説明した松本允秀(まさひで)さん(79)は「訪問の際は一日も早い復興を願うお心をいただいた。(特例法成立は)陛下の願いが結実したように思え、とてもうれしい」と心から喜んだ。

 未曽有の災害からの復興の陣頭指揮を執るなど、村長職を7期28年務めた松本さんは間もなく80歳を迎える。戦争、そして震災、原発事故と、多くの苦難の中で懸命に生きてきた自身の人生と重ね合わせ、松本さんは「重圧の中で精いっぱい頑張ってこられたと思う」と両陛下に思いをはせた。