「生食用ブドウ」初出荷へ 実証栽培、川内の特産品化を目指す

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ブドウの生育状況を確認する秋元代表(右)

 東京電力福島第1原発事故からの農業再生を進める川内村で、特産品化を目指すワイン醸造用ブドウに加え、生食用ブドウの栽培も活発化している。実証栽培から3年目を迎え、近く初出荷される。水稲の育苗に使われる農業用ハウスでブドウの木を育てているのが特徴で、村と県は、野菜や果物などの園芸品目の生産を拡大することにより、コメ農家の所得向上につなげたい考えだ。

 原発事故後、村内でコメの作付け再開が進む一方、近年は米価が下落し、農家の経営安定に向けて園芸品目の生産拡大が鍵を握る。

 このため村は、2015(平成27)年6月、県の支援制度「ふくしまから はじめよう。攻めの農業技術革新事業」を活用し、生食用ブドウの実証栽培に乗り出した。村と県は、水稲の育苗が終わった5月以降、農業用ハウスが使われていない状況に着目。県相双農林事務所双葉農業普及所の指導を受け、田植えを終えた生産者がハウスを利用して手間をあまりかけず、ブドウを効率的に栽培できる手法の確立に挑んできた。

 村内の農家が昨年4月に出荷、販売を目的にした「川内村ハウスブドウ生産組合」を設立。現在の組合員は18人で、村内の栽培面積は24アールになった。

 17日は同組合の秋元英男代表(63)と村、県の担当者が、実証栽培をしている同村の秋元敏博さん(53)方を訪れ、成育状況を確かめた。約1アールのハウスで3本のブドウを育てており、県オリジナル品種「あづましずく」を手始めに「ピオーネ」「シャインマスカット」と段階的に出荷する。

 県によると、放射性物質検査で放射性セシウムは検出されなかった。今年の出荷量は40キロ程度にとどまるが、将来的には1アール当たり100キロの出荷を目指す。

 出荷先は村内の農産物直売所「あれ・これ市場」から徐々に拡大していく計画だ。村はふるさと納税者への返礼品にすることも視野に入れる。秋元代表は「ハウスを有効活用して所得アップにつなげたい。ブドウを村の新たな特産品にしたい」と意欲を示す。