【健康長寿・福島の挑戦】「スープ残します」 ラーメン店にカード

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スープを残す際に置く「うめぇげんども~」カード。観光客が使うことも多い=山形県米沢市・あたご食堂

 「この頃、スープを残す人が増えた。まずくて飲まないのか、塩分を気にして残しているのか分からず、困ってんのよ」

 福島市に隣接する山形県米沢市。同市の製麺会社の社長(63)は2年前、市内のラーメン店から悩みを打ち明けられた。この言葉が、活動を始めるきっかけの一つになった。

 「うめぇげんどもスープのごすじゃぁ」と書かれたプラスチック製のカード。「おいしいですが、私は健康のためにあえてスープを残します」という意味だ。

 製麺会社の社長が所属する「米沢らーめんから始める元気なまちづくりの会」が作り、昨年4月から市内のラーメン店19店舗に置く。スープが残った器の近くにカードがあれば、店は客の思いが分かる。

 塩分を気にして好きなラーメンを食べなくなった人にも「健康的にラーメンを楽しんでもらいたい」との思いがある。自身、震災が起きる直前の2011(平成23)年に脳出血で倒れて搬送された経験があり、塩分過多による高血圧が一因と考えた。

 「スープは店にとって命。全部飲んでもらえればうれしいが、お客さんが健康で長く店に来てもらうことを選んだんだ」

 しょうゆ味のスープとボリュームある縮れ麺が特徴の「米沢らーめん」を提供する店は、市内に約100店舗ある。この活動を発案した「まちづくりの会」の笹木洋一代表(66)は当初「スープの塩分が高いと、あえて情報発信することを店は嫌がるだろう」と想像した。

 しかし、声を掛けると予想に反して好感触だった。活動は注目を集め、若い母親からは「このカードが店にあれば、好奇心の強い子どもは興味を持つ。食育の教材になる」と言われた。

 各地の食生活改善推進員向けの講演も頼まれるようになった。「それほど人々の健康志向が高まっているということなのだろう」。時代の要請に応え、昔ながらの地域の食文化を健康の観点から見つめ直すことが必要だ。

 総務省が都道府県庁所在地と政令指定都市を対象に行った家計調査(2人以上の世帯、14~16年の平均)によると、中華そば(ラーメン)の外食の食事代ランキングは、山形、新潟両市に続いて福島市が全国3位だ。おいしいラーメンと健康的にどう付き合っていくのか。米沢の活動はヒントになりそうだ。

 笹木さんは言う。「ちょっと意識すれば、ラーメンを食べた日はほかの食事で塩分を控えるなどの工夫もできる。好きな物は食べたい、でも食べ方は気を付けなくてはいけない」

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