「糖尿病」余命リスクは30倍 原発事故後の放射線最大値で比較

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 南相馬、相馬両市民の原発事故後の健康リスクについてどれだけ余命が縮まるかを比較した研究で、運動不足などによる糖尿病増加のリスクが、放射線被ばくによる発がんリスクの20~30倍大きいとの推定を、福島医大や南相馬市立総合病院の研究者チームが論文にまとめた。研究チームは「原発事故がもたらしたのは放射線被ばくだけでなく、より大きな問題がある。生活習慣病対策に取り組む必要がある」としている。

 29日に米オンライン科学誌プロスワンに発表した。南相馬市の比較的放射線量が高い地域の空間線量から推定した外部被ばく線量のほか、飲食物や呼吸に由来する内部被ばく線量の推定値から両市民の線量を導き、原爆被爆者の疫学データに基づくモデルで計算した。結果、被ばくによる発がんに伴う損失余命は0.0069年、40~70代では0.0024年だった。研究チームは「リスクを精緻に推定するというより、リスクを過小評価せずに算出する計算方法、実際より過大に評価した」としている。

 一方、震災後増加した糖尿病の健康リスクを2008(平成20)~14年の両市民約2万8000人分の特定健診のデータを基に計算。損失余命は40~70代で0.05~0.08年。放射線より21~33倍大きかった。

 両市民の糖尿病発症を巡っては、避難した人で震災前の約1.6倍、避難していない人でも約1.3倍に増えたとの先行研究がある。

 研究チームは就労状況や運動習慣、食生活、コミュニティーとの関わりなどが震災後に変わったことが影響しているとみており、両市だけの問題でないと指摘。適切な対策を取ればこの推定が将来再現されることはないとして、震災と原発事故の影響で乱れた食生活を元に戻すことや、定期的な運動を呼び掛けている。

 村上道夫福島医大健康リスクコミュニケーション学講座准教授と、南相馬市立総合病院などに勤務する坪倉正治医師が29日、記者会見した。坪倉医師は「福島で医者が今最も対応すべきなのは放射線被ばくではなく生活習慣病だということを、県外の人にも知ってほしい」と話した。

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