【生業訴訟判決の波紋】責任・慰謝料 認定違い「釈然とせず」

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 「判決がこれだけ分かれるとどうにも」。国と東京電力に原発事故の責任を認めた10日の生業(なりわい)訴訟判決は会津を除く中通りと浜通りのほとんどに新たな賠償を認めたが、同種訴訟でこれまで判決が出ている前橋、千葉両地裁と認定が異なる点もある。

 3月の前橋地裁判決は福島判決と同様に国と東電双方に事故の責任を認めたが、9月の千葉地裁は「津波対策は優先度が低かった」などとして国の責任を認めなかった。

 判決の慰謝料についてはもっと多様だ。事故当時住んでいた場所に応じて慰謝料を決めた福島判決で、矢吹町の原告に認定された慰謝料は10万円。一方、千葉判決は同町から避難の原告には10万円を超える支払いを命じた。福島判決が賠償を命じた県南に住む会社員男性(32)は「判断基準をどう考えればいいのか分からない。重要なのは納得感ではないか」と、判決ごとの認定の違いに対する釈然としない思いを明かす。

 慰謝料の多寡ではなく、各判決が、賠償の基準となってきた国の中間指針を超える慰謝料の支払いを命じていることを評価する声も。福島市の看護師女性(32)は「事故後、不安を抱えて生きてきた。裁判には加わっていないが、そうした心労を酌んでもらえるなら報われる気がする」と話す。

 福島判決の大きな特徴は、事故当時に住んでいた地域ごとに慰謝料額を判断した点。判決が慰謝料の追加や新規の支払いを命じた地域に住むのは原告だけではない。仮に福島判決を原告外にも適用すれば、賠償の対象となり得る県民は約150万人。「自分も慰謝料がもらえるのか」との声も聞かれるが、支払いの対象となるのは原告のみ。しかも判決が確定した場合に限られ、今後の展開は不透明で、今後予想される控訴審の行方などに左右される。

 過去にアスベスト(石綿)訴訟に携わった弁護士の位田浩氏(54)=大阪市=は「一般化できる共通の争点について、最多の原告数を持つ福島での判決は他の地裁も無視できない」と指摘する。

 浜通りの自治体の損害賠償担当職員は各地裁の判決を比べながら言う。「各地裁の判決の数だけ賠償額の差は生まれる。国と東電は状況に応じて、新たな統一基準を策定する必要がある。司法の判断は、そう指摘しているのでは」

おすすめPickup!ニュースの『玉手箱』

「22日は衆院選投票日です」 福島の学生に『投票』呼び掛け