【衆院選-識者に聞く】桜の聖母短大学長・西内氏 出生率上げる手立て必要

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「福島県は日本一の子育て県になれる可能性がある」と話す西内氏

 ◆桜の聖母短大学長・西内みなみ氏

 子育てを考える上で最大の課題は、いかに出生率を上げるか。福島県が目標とする合計特殊出生率は2.16だが、(2016年は)1.59にとどまる。原因を本気で考え、出生率を上げる手立てを考えないと将来につけが回る。

 出生率低下には二つの大きな理由がある。一つは結婚できない、しない層の増加。二つ目は第2子を産まない層が増えたことだ。東京都は出生率が1を切った。二つの原因を変えない限り出生率は上がらないし、人口も増えない。

 2人目を産まない世帯が増えた背景には、働く女性の子育てが難しい環境がある。例えば福島市には200人を超える待機児童がいる。子育て施策は市町村ごとの違いも大きい。各市町村が良い施策を積極的に導入してはどうか。子を産みやすい環境づくりは女性だけの問題ではない。夫が会社から早く帰らないことにも問題がある。子育ては夫婦でするもの。そのためワークライフバランスを実現すべきで、企業のトップが意識を変える必要がある。

 子どもは国の財産だが、あまりにも子にかける国費が少ない。苦労して子どもを産み育て、仕事も頑張る人は疲れてしまう。結果として後輩に出産を勧めない、そんな悪循環だ。

 幼児教育の無償化は導入が遅いぐらいだ。子どもを国の財産として育ちを保障し支援する体制を整える必要がある。欧州には行政が切れ目のない育児支援を行う「ネウボラ」という仕組みがある。無償化が実現しても教材費など教育に必要なすべての費用が無料になるわけではない。塾なども考えれば、無償化だけでは教育格差の解消は難しい。

 さらに深刻なのは待機児童問題。不足する保育士の労働環境改善は急務だ。実は保育士資格を持つ人は多いのに、子どもを産んだ保育士たちが働ける環境がないことが不足につながっている。保育科の卒業生に聞くと、決して高くない給料を上げることより「人を増やしてほしい」と話す。切実な状況だ。

 幼児教育無償化には財源も必要となる。ただ、政治家が言うように受益者負担の考え方からの痛みは本当に必要か。それについては丁寧に説明を聞いてほしい。

 豊かな自然環境や人口規模も適当な福島県は、日本一の子育て県になれる可能性が十分にあると思っている。(選挙は)一つ一つの課題について本気で考える大切な機会でもある。

 にしうち・みなみ 愛知県出身。東京女大理学部卒。東大大学院を経て、1989(平成元)年に福島医大講師。92年から桜の聖母短大助教授、教授を務め、2016年4月に学長に就任した。県子ども・子育て会議副会長も務める。59歳。

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