「かしまの一本松」心のよりどころは永遠に 12月27日伐採へ

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「寂しいが、新たな観光地にする区切りになれば」と話す五賀会長と「かしまの一本松」=13日午前、南相馬市鹿島区南右田

 東日本大震災の津波に耐え、復興の象徴となっていた南相馬市鹿島区南右田の「かしまの一本松」が、12月27日に伐採される。防災林整備や、枯死などの理由から伐採される方針となっていた。かしまの一本松を守る会の五賀(ごが)和雄会長(77)は「寂しく残念な思いだが、枝や種から子孫が育っている。一本松はこれからも被災地の心のよりどころであり続ける」と話した。

 一本松がある南相馬市鹿島区南右田は津波で行政区の全70世帯が流失し、54人が犠牲になった。現在は地区のほぼ全域が住居を新築できない災害危険区域に指定されている。五賀会長によると、一本松は高さ約25メートル、樹齢約200年で、長らく地域を見守ってきた。南右田に約3キロ続いた松林は津波で流失や枯死したが、唯一、一本松は高さ15メートルの津波に耐え、地元住民は復興へ歩む姿を重ねる「地元の希望」として、一本松を保全する方法を模索してきた。

 しかし、2014(平成26)年秋ごろから、葉の変色が目立ち始めるなど状態が悪化。津波に加え、高潮や雨水の滞留が影響したとされる。枯死を避けるため同会は活力剤を散布し、15年1月には茨城県つくば市の森林総合研究所に枝と種を託し、一本松の「子孫」を残す取り組みを進めてきた。子孫は順調に芽生え、県が同地区で計画している防災林の一角に植樹される予定だ。

 五賀会長によると、伐採された一本松は同会が活用することになっており、状態を見て表札や木製のオカリナに加工する計画。同会は一本松が立っている場所に記念公園を整備しようと協議を進めており、伐採日直前の12月23、24の両日には、一本松のライトアップを行う方針だ。五賀会長は「ばらばらになった地域のつながりを結ぶ場として、震災の教訓を後世に伝えていく」と話した。

 復興のシンボルに位置付けられた一本松には今も県内外からの訪問客が絶えない。13日は、千葉県館山市の高校生小山内彩水(おさないあやみ)さん(15)ら家族3人が訪れた。一本松を見上げ「あの津波から生き延びた一本松が伐採されるのは悲しいけど、新しい子孫が育っていくのが楽しみだ」と話した。

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