只見線、台湾から『熱視線』 SNS通じ「絶景の鉄道」撮影人気

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台北駅に設置された只見線の懸垂幕。インターネットなどを通じて只見線が脚光を浴びている

 親日として知られる台湾で只見線を中心とした本県観光が脚光を浴びている。現地で人気の鉄道や雪の撮影を楽しめることが会員制交流サイト(SNS)などを通じて広がったことが要因で、台湾人の県内宿泊数は右肩上がりの状況が続く。来年1~3月にチャーター便の連続運航が予定されており、観光定着につなげられるか、本県関係者の手腕が試される。

 ◆◇◇巨大な懸垂幕

 台湾最大の都市、台北市の中心部にある台北駅。駅構内の壁面に、雪景色の中を走る只見線の列車を写した縦15メートル、横9.6メートルの巨大な懸垂幕が掲げられた。

 冬の東北観光をPRするため、JR東日本が現地の代理店を通じて10月4日から11月3日にかけて設置した。「東北の観光地の中から最も台湾人への発信力がある写真が選ばれた」とJR東の関係者は説明する。

 数多くある東北の観光地の中から只見線が選ばれたのは、現地で人気が高まっていることの表れでもあった。

 台湾から本県への観光客数は東日本大震災後、増え続けている。昨年は延べ1万8570人で、震災前の数字を上回った。今年上期(1~6月)は8580人で、前年同期比で32.2%増となっている。

 ◇◆◇個人旅行が増

 只見線沿線を訪れる台湾人の姿が目立つようになった。金山町の玉梨温泉恵比寿屋では、年間数件だった台湾人の宿泊がここ1、2年で50件ほどまでに増えた。

 坂内譲専務(48)は「以前は、行政が企画したツアー客がほとんどだったが、今は個人旅行で訪れる人が増えてきている」と話す。

 県は台湾をインバウンド(訪日外国人誘客)の重点市場と位置付け、現地の有名ブロガーを招くなど各種施策を進めてきた。狙い通りに、影響力のあるブロガーがフェイスブックや写真共有アプリ「インスタグラム」で「インスタ映え」する只見線の写真を紹介したことで、台湾人の関心が高まってきているという。

 吾妻嘉博県観光交流課長は「SNSでの情報の広がりが観光客増加の大きな要因になっている。(台湾では)原発事故の風評の影響が比較的薄いことも関係している」と分析する。

 奥会津の山々が紅葉に染まった今月上旬。只見線沿線で、最も台湾人に人気とされる三島町の第一只見川橋梁(きょうりょう)の撮影ポイントでは、大勢の観光客がカメラを構えていた。台南市のクンチェンチェンさん(39)は、フェイスブックに掲載された写真に引かれ、何度も只見線の撮影で訪れるようになった。「山々の中を列車が走る風景が素晴らしい」とクンさん。台湾では雪がほとんど降らないため、雪景色の撮影も人気だ。

 ◇◇◆誘客まだ途上

 ただ、只見線を含め本県の観光誘客はいまだ途上にある。昨年の本県の宿泊数は東北6県で最も少なく、最多の岩手県の6万4780人と比べ3分の1以下にとどまる。只見線を撮り続けている写真家星賢孝さん(69)=金山町=は「台湾人が訪れるのは冬場が最も多いが、只見線は四季を通して魅力がある観光素材。リピーターの獲得へ、情報発信をさらに強化する必要がある」と指摘する。