津波耐えた豊間中銘板 坂本さん修復「困難にくじけない象徴」

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坂本さんの手によって修復され、生まれ変わった校銘板

 東日本大震災の津波で被災したいわき市・豊間中の旧校舎玄関にあった校銘板の修復が進められている。同校旧校舎は解体されており、銘板は8月に使用が始まった同校新校舎に掲げられる予定。制作・修復を手掛けている同市の版画家坂本勇さん(86)=日本版画会名誉会員=は「もう一度子どもたちに見てもらいたい」と銘板に2度目の命を吹き込む。

 銘板は、坂本さんが2002(平成14)年1月、当時の校長に頼まれて制作。坂本さんは生徒と学校が将来、躍進してほしいとの願いを込めて仕上げ、旧校舎玄関口に掲げられていた。

 11年3月11日。震災の津波で校舎や体育館が水没するなどの被害を受ける中、銘板も海水をかぶった。校舎にがれきが堆積するなど被害は大きかったが銘板は流されずに残り、大切に保管された。震災の記憶を後世に伝える品としてそのままの形で保存することも検討されたが、11月に入って、松本仁志校長(54)が「生まれ変わって子どもたちを見守ってもらいたい」と坂本さんに修復を依頼した。

 依頼を受けた当初、「まさか自分が彫った物が残っているとは思わなかった」と驚いた坂本さん。手元に戻ってきた銘板を紙ヤスリで整え、黒文字を入れ、ニスを塗って最初の銘板より一層味のある姿に仕上げている。被災してできた傷は、震災を後世に伝えるため、直さずにそのまま残した。「この銘板は、あの震災を乗り越えた。困難にくじけない象徴として、子どもたちに何か感じてもらえれば」と坂本さん。「新しいものに囲まれる中で、『残すべきもの』への思いを感じてほしい」と話す。引き渡し式は22日の2学期終業式を予定している。