「東北中央道」開通1カ月...新商圏に攻勢 経済効果へスピード感

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米沢市中心部では、開通を祝うのぼりがはためき、市民らの期待の大きさをうかがわせる(11月27日)

 福島市と山形県米沢市をつなぐ東北中央道福島大笹生―米沢北インターチェンジ(IC、無料区間)の開通から4日で1カ月がたつ。福島市では米沢を新たな商圏と位置付け、攻勢を掛ける企業がある一方、米沢市では自治体などの働き掛けで県外からの企業進出が進む。開通による経済効果を高めるにはスピード感のある取り組みが求められている。

 ◆◇◇誘客へ環境整う

 「商圏の設定では何キロ離れているかよりも、何分で来られるかが重要。東北中央道の開通により(米沢で)チャレンジできる環境が整った」。福島市にある中合福島店の佐々木浩店長(57)は、新規顧客の獲得に向け米沢へ熱い視線を注ぐ。

 福島市役所―米沢市役所間の車での所要時間は国道13号などを通った従来よりも20分短縮され、約40分となった。「特別感」のある企画を打ち出せば、誘客が十分可能な圏内に米沢が収まった。

 中合福島店は11月、催し物の中でも断トツの人気を誇る北海道物産展の開催を機に、米沢周辺での宣伝活動を開始。チラシ1万1650枚を新聞に折り込み、米沢市内などで配布し、山形県内では初となるテレビCMも放送した。歳末商戦が本格化する中、佐々木店長は「新たな商圏として、米沢へのアプローチを続けていきたい」と意欲を示す。

 ◇◆◇既に効果を実感

 開通効果を実感している福島市の事業者も多い。同市大笹生で、まるげん果樹園を営む浅倉寿二代表(70)は「実際に米沢からのお客さんが増えている。山形と競合しないモモの時期は今以上に期待できる」と話す。これまでも若い世代を中心に米沢からの利用があった同市内のアミューズメント施設には開通後、利用に関する問い合わせなどが増えたという。

 米沢市では、開通が県外企業の地元進出を確実に後押ししている。米沢中央ICから約1キロの距離にある準工業地域「米沢オフィス・アルカディア」。米沢市などが分譲対象の約26ヘクタールに事業所、営業所などの業務施設を誘致してきた。市によると、2013(平成25)年度末の販売率は37%にとどまったが、開通を見据えた企業進出が相次ぎ65%に伸びた。米沢中央ICより福島市に寄った米沢八幡原ICにほど近い米沢八幡原中核工業団地では契約が進み、総区画112のうち、未契約は7区画を残すのみだ。

 米沢商工会議所(米沢市)の安部徹事務局長(57)は「新しい工業団地をもう一つ造成すべきとの声まで出ている」と胸を張る。

 同商議所によると、米沢市の工業製品の6割余りが、雨や雪による通行止めもあった国道13号を通って関東圏に出荷されてきた。天候の影響を受けにくい高速道が整備されたことで安定した物流が見込め、企業進出につながっているとしている。

 福島市も大笹生IC周辺で、道の駅を含む工業団地の整備を急ぐ。規模は当初計画で約30ヘクタールだったが、早期立地を目指して約13ヘクタールに縮小。19年3月までに一部の分譲が始まる予定だが、開通前から企業誘致に動いていた米沢市に比べると出遅れ感も否めない。

 ◇◇◆関東圏結ぶ要所

 20年度には相馬福島道路が開通する。将来的に秋田県横手市まで延びる総延長約268キロの東北中央道の整備がさらに進めば、福島市は関東圏と東北を結ぶ要所となり、人口交流と物流の拠点になり得る。福島商議所の丹野典之事業推進部長(60)は「このチャンスを生かし、地域活性化に結び付けるには、スピード感を持って事業展開していく必要がある」と強調した。