原発事故「賠償基準」見直しなど指摘 避難による地域社会崩壊

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 東京電力福島第1原発事故で県民が受けた被害が適切に賠償されているかを考えるシンポジウム「福島原発事故被害の賠償と回復」が2日、東京都内の明大で行われた。有識者らは相次いだ原発事故関連の民事訴訟の判決を踏まえ、避難による地域社会の崩壊など原発事故で特徴的な損害にも対応した賠償基準の見直しの必要性などを指摘した。日本弁護士連合会、日本環境会議の共催。

 公害などの民事訴訟に詳しい吉村良一立命館大大学院教授(環境法)は3月の前橋地裁と9月の千葉地裁、10月の福島地裁で判決が出た民事訴訟について「放射線被ばくの危険や不安のない平穏な生活を送る平穏生活権の侵害が認められた」と指摘し、各判決で差はあるものの「(国の)賠償指針の範囲を超える賠償を認めている。指針の見直しや救済制度の再構築が必要だ」と訴えた。

 被災者と東電の間で行われている裁判外紛争解決手続き(ADR)に関わっている二宮淳悟弁護士は「本来は民事訴訟と並行してできるはずのADRについて、東電が訴訟当事者との和解手続きを拒否するケースが確認されている」と報告。さらに「民事訴訟の判決が確定するまで応じないという内容もあり、和解仲介を尊重する義務を果たしていない」と批判した。

 原発事故を巡る賠償を検証している除本(よけもと)理史大阪市立大教授(環境政策論)は「除染などの原状回復と財物などの賠償だけではなく、避難元で生活することで得ていた『地域生活利益』が損なわれたことへの慰謝料が必要だ」と指摘した。