配達員ら機転...命救う 相馬の新聞販売店、たまった朝刊で異変直感

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署長感謝状を受ける(右から)松沢さん、佃さん

 福島県相馬市の新聞販売店の職員と市民の機転が80代男性の命を救ったことが15日、分かった。高齢化の進行や、1人暮らしや高齢者のみの世帯が増加し、見守りなどの対策の充実が求められる中、新聞配達と地域のつながりが力を発揮した。

 相馬署などによると、11月25日午前3時30分ごろ、福島民友新聞などを配達する松澤新聞店の配達員菊地伸幸さん(53)が同市の80代の兄弟宅に配達で訪れた際、新聞受けに3日分の新聞がたまっているのに気付いた。室内からは明かりが漏れていた。「もしかして危険な状態なのでは」。すぐに店に連絡した。

 連絡を受けた同店社員の法村和浩さん(48)が、兄弟宅の近くに住む佃信雄さん(74)方に連絡。妻秀子さん(75)から状況を聞いた佃さんが兄弟宅を訪ねると、鍵が開いたままになっていた。中に入り、倒れている兄と衰弱した弟を発見、相馬消防署に通報した。

 発見時、兄は死後数日が経過とみられる。弟は病院に搬送された。同署によると、発見が遅れれば弟の命も危険な状態だったという。

 菊地さんは「1人の命を救えたのは良かったが、お兄さんが亡くなってしまったのが残念。もっと早く気付いていればという思いもある」と話している。佃さん、秀子さんは「当たり前のことをしただけ。配達員の人が気付いて教えてくれて住民としてもうれしい」と胸をなで下ろしている。

 相馬署は15日、迅速で的確な対応をたたえ、佃さんと松澤新聞店に署長感謝状を贈った。村上祐司署長は「震災後は高齢者のみの世帯が特に多くなっていると感じる。巡回を続け、気を付けていく必要がある」と高齢者の見守りの重要性を強調した。

 同店所長の松沢行訓さん(46)は「対応は当然のこと。もっと早く連絡できた可能性もある。少しでも異変を感じた段階で連絡できる態勢も考えたい」と話した。