前原子力規制委員長の田中俊一氏、飯舘村での生活スタート

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自宅近くを散策する田中氏

 前原子力規制委員長の田中俊一氏(72)=福島市出身=が19日までに、東京電力福島第1原発事故による避難指示が大半の地域で解除された飯舘村での生活をスタートさせた。原発事故直後の混乱期にモデル除染を行った、思い入れのある村に6年を経て戻ってきた。

 「いずれは村で生活したい」。規制委の委員長を引き受けた時からの思いは、任期の5年がたっても変わらなかった。田中氏は事故直後、長泥地区の行政区長鴫原良友さん(67)の住宅でモデル除染に取り組んだ。除染は2012(平成24)年の委員長就任まで定期的に続け、就任後も鴫原さんらとは連絡を取り合ってきた。

 「村や村民の希望を受けながら、自分ができることをやっていきたい」と語る田中氏。その中でも長泥地区へ対する思いは強い。同地区は、避難指示解除に向けた「ミニ復興拠点」の整備計画策定が進んでいる。環境省による村内の除染で出た土壌を再利用する計画もある。

 村全域の復興に向けた議論は待ったなしの状況で進んでいる。「まずは長泥の皆さんが喜び、楽しみながら再生を図れる道筋を作るのが自分の役割」。原子力委員会委員や日本原子力学会会長、初代原子力規制委員長としての経験、人脈を役立てるつもりだ。

 村での生活を決めたのは農村として歴史を築いてきた村での生活への強い憧れもある。楽しみにしているのは山歩きだ。「村民とどんどん交流の場を持ちたい。村での生活はとにかく楽しみ」

 助言役に委嘱検討

 原発事故からの復興を進める村は、田中氏を村の復興全般のアドバイザーとしての委嘱に向けて検討を進めている。菅野典雄村長は「これまで培ってきた人脈で村の復興を後押ししてほしい」と期待した。鴫原区長は「長泥の復興に向けて、とても頼もしい存在だ」と歓迎した。

 田中氏は、月の半分程度は村内で生活しながら、被災12市町村を中心に村や浜通りの復興に取り組む考え。