「地域再生」新たなステージへ 帰還困難区域で復興拠点計画進む

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大熊町中心部のJR大野駅(中央)周辺

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故は3月で発生から丸7年を迎える。帰還困難区域で除染とインフラ整備を一体的に行う特定復興再生拠点区域(復興拠点)が動きだし、国は計画認定から5年をめどに復興拠点の避難指示を解除する方針。被災地は復興へ新しいステージに立つ。双葉、大熊、浪江の各町が申請した整備計画が認定された。双葉町では昨年12月、整備計画に基づく初の除染と建物の解体工事が始まった。富岡町では町が議会に整備計画案を示し、2月中にも国に申請する構えだ。住民が再び古里で暮らせるように、期待が膨らむ。

 駅を復興シンボルに

 【双葉町】JR双葉駅を中心にまちづくりを進め、2022年春までに復興拠点の避難指示を解除、解除から5年後に町民ら約2000人の居住を目指す。
 復興拠点は同駅を中心にした町面積の1割に当たる約555ヘクタール。整備計画では同駅の西側に生活拠点、東側に交流拠点などを整備、周辺に再生可能エネルギーの発電拠点や耕作再開区域を設ける。
 双葉駅は駅舎と自由通路が2階部分で一体となる「橋上駅」とする。「復興のシンボル」にする考え。20年3月末までのJR常磐線の全線開通に合わせて双葉駅周辺の一部と避難指示解除準備区域の避難指示は先行解除する方針だ。
 昨年12月には町が「復興シンボル軸」と名付け、町を東西に横断する県道などで復興拠点整備の第1弾となる除染が始まった。また今年2月には、双葉駅の東側約90ヘクタールの除染も始まる。
 町復興推進課の平岩邦弘課長は「まずは双葉駅周辺など一部区域の避難指示の先行解除へ全力で取り組む。国、県との連携を強化し、復興計画を実現させたい」と意気込みを話す。

 駅周辺を先行解除

 【大熊町】復興拠点の整備計画は、帰還困難区域のJR大野駅周辺地区や下野上地区など町全域の約1割に当たる約860ヘクタールを範囲とした。2022年春ごろの避難指示解除を目指しており、さらに5年後となる27年の居住人口の目標を2600人に設定している。
 大野駅周辺の地区は帰還住民の住居や企業事務所、社宅建設を進め、商店街も整備する。下野上地区は「産業・交流」と「居住・営農」の2区域に分け、産業集積や農業振興を図る。国道6号沿いの飛び地約20ヘクタールに商業施設が立地できるようにする。国道6号につながる道路も整備し、住民の帰還や移住の促進につなげる。
 22年の避難指示解除を前に常磐線が全線開通することから、20年には大野駅周辺を先行解除する方針。
 町が復興拠点に位置付けている大川原地区(居住制限区域)では18年度中に町役場の新庁舎を完成させ、役場機能を集約する。帰還町民の公営住宅を建設し、福祉施設や町営診療所、交流施設を整備、商業や産業、研究施設などの用地も確保する。
 渡辺利綱町長は「町中心部の特定復興再生拠点では、企業誘致や住宅地の整備などを進め、復興の姿が実感できるようにしたい」と語った。

 3地区で居住、農業

 【浪江町】復興拠点は、2018年から23年までに帰還困難区域の室原、末森(大堀)、津島の3地区で計約661ヘクタールを整備する。
 町は帰還困難区域の避難指示解除時期を23年3月末までとし、避難指示解除から5年後の人口目標を約1500人としている。
 計画では、室原で家老地区を除いた区域(約340ヘクタール)、大堀は末森地区(約184ヘクタール)、津島は津島支所とつしま活性化センターを中心とする区域(約137ヘクタール)を整備エリアとしている。
 各地区には「居住促進」「交流」「農業再開」の各ゾーンを設けた。室原地区は常磐道浪江インターチェンジなど交通の要となることから、「物流・産業」と「防災」各ゾーンを設ける。
 末森地区には大堀相馬焼の里の窯元や物産館「陶芸の杜おおぼり」を整備する。
 浪江町の安倍靖企画財政課長は「帰還困難区域全域の避難指示解除に向けた第1ステージとして進めていきたい」と意気込む。

 2月にも整備計画申請

 【富岡町】復興拠点について、国道6号の西側全域と東側の一部行政区を設定する方針を示している。住民説明会を経て2月にも国に計画を申請する見通しだ。2022年度までに復興拠点の避難指示解除を目指す。
 町のシンボル「桜のトンネル」と常磐線の夜ノ森駅がある夜の森地区や大菅行政区などが含まれる。面積は約390ヘクタールで、帰還困難区域の約46%に当たる。
 町は当初、帰還困難区域全域を復興拠点とし、区域全体の再生を進めたい考えだった。
 しかし、国道6号を挟んで東側の沿岸部には除染で出た汚染土壌などの仮置き場が集中、復興まで時間を要することから2段階に分けることにした。
 工程では18~22年度を整備期間の第1期と位置付けて優先的に再生を進める。
 町は「帰還困難区域全域の復興・再生が町の真の復興・再生に欠かせない。区域全域を再生させる方針に変わりはない」としている。