タクシー運転手は元ミスピーチ 武藤さん、持ち前の笑顔生かす

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「福島の観光や復興をPRしたい」と笑顔で話す武藤さん

 運転手は元ミスピーチ。川俣町の川俣タクシーで、2016年度ミスピーチキャンペーンクルーを務めた福島市飯野町の武藤百夏(ももか)さん(23)がタクシー運転手として奮闘している。「福島の復興や魅力をドライバーとしてPRしたい」。ミスピーチで磨いたトーク力と持ち前の笑顔を生かして地域振興へ力強く"アクセル"を踏む。

 武藤さんがタクシー運転手を志したのは、同社に勤める前に福島市の飯野町商工会に勤務していた時。同社の橋本博文社長(39)の母がタクシー運転手として「地域の足」を支える姿に憧れたからという。

 昨年度、ミスピーチとして福島の復興や観光、果物を全国に発信する活動に参加した武藤さん。活動の中でいまだ根強く残る本県に対する不安の声が寄せられた。活動を続ける中で、「たとえ乗車しているわずかな時間でも、福島の現状を知ってもらいたい」という思いが強くなり昨年9月、タクシードライバーとして一歩を踏み出した。

 乗客のニーズは百人百様。「乗客が求めていることを感じ取るのが難しい」と語る。それでも武藤さんは笑顔を大事に、乗客との会話の内容やタイミングなどを安全運転に心掛けながら探る日々。「どうすれば車内で楽しく過ごしてもらえるか。常に試行錯誤」と、大きなやりがいを感じている。

 橋本社長は「ミスピーチで磨いたPR力を観光タクシーの分野で発揮してほしい」と期待を寄せる。本県のタクシー業界で、若い女性ドライバーは珍しい。乗客ごとの要望に応える観光タクシーはニーズが高く、同社では、今春にも武藤さんを中心に観光タクシーの導入を考える。武藤さんも「ミスピーチで培った経験を生かせる」と前向きだ。

 米国でのホームステイ経験による英語力も武藤さんの武器。福島市では2020年の東京五輪で野球、ソフトボール競技が開催される。「海外の人に、福島の魅力や正しい情報を知ってもらい、川俣町や飯野町のPRにもつなげたい」。16年には東京電力福島第1原発の視察を行った。放射能に関する学習も精力的に行っており、正確でタイムリーな情報発信には余念がない。

 それでも「まずは、『楽しい一日だった』と、乗客の心に残るドライバーになりたい」と武藤さん。タクシー運転手としての生活は始まったばかりだ。