20年にも「コメ抽出検査」 福島県が方針、1農家当たり数点

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 東京電力福島第1原発事故後、福島県内全域で行われているコメの全量全袋検査について県は、原発事故による避難指示が出なかった市町村などであと2~3年間継続した後、野菜や果物と同じ抽出検査へ移行する方向で最終調整に入った。全農家を対象として、1農家当たり数点を抽出する方式を軸に検討が進む見通し。移行時期は今後の検討課題だが、県の内部には、東京五輪、パラリンピックが開かれる2020年産からの導入案が浮上している。

 営農再開地域は全袋検査継続

 県が18日、福島市で開かれた農業、消費者団体などによる検討会合で、今後の方向性の素案を示した。素案では、全袋検査する対象を市場に流通する「出荷米」と、親戚や知人などに渡す「縁故米」に限定。自家消費米の検査は希望制とする。自家消費米の希望制は2018(平成30)年産から導入したい考えだ。

 避難指示が出た12市町村のうち新たに営農再開する地域では、安全性を確認するデータが蓄積されるまで自家消費米を含めて全袋検査を継続する。具体的な実施地域は12市町村と個別に協議して決める。

 検討会合では議論の部分を非公開とした。県によると、全袋検査を今後2~3年継続した後、抽出検査への移行について委員から異論は出なかった。県は今後、国などとの協議を経て、17年度内の早い段階で移行時期や抽出方式などについて方向性をまとめる方針だ。

 素案の提示は、カリ肥料の追加散布による放射性セシウムの吸収抑制対策や農地除染などで、安全なコメの生産体制が確立されたことを踏まえた対応。全量全袋から抽出に移行することで、検査場への運搬など農家負担の軽減を図る。

 県は「新たな検査方式に移行するに伴い、今後はGAPの取り組みなど生産対策に軸足を移し、本県農業の復興を力強く進めたい」(水田畑作課)としている。

 食品の放射性物質検査に関する国の指針では、直近3年間の検査で一般食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)の2分の1(同50ベクレル)を超える放射性セシウム濃度を超える検体が確認された場合、自治体単位で検査を継続する必要があるとしている。3年間、全検体が2分の1を下回れば、検査方法を見直すことができる。15、16年産米で食品の基準値を超えたケースはない。17年産も17日現在、約966万点を検査し基準値超えはなかった。さらに17年産米は全ての検体が1キロ当たり50ベクレルを下回る見通しだ。