「ゲノム編集」時間短縮へ 福島医大・横内氏が効率化へ新技術

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 福島医大甲状腺内分泌学講座の横内裕二特任教授が、生物の遺伝子を改変する「ゲノム編集」の技術に関し、従来よりも効率良く短時間で行う改良法を開発していることが分かった。新年度には新たな手法を使ったゲノム編集を人工多能性幹細胞(iPS細胞)で成功させたい考え。将来的には再生医療や緊急被ばく医療への活用を視野に入れる。横内氏は「福島医大発の手法として広く使われるようになれば」と意欲を話す。

 医学分野でのゲノム編集は、遺伝性疾患を持つ患者に由来するiPS細胞(疾患iPS細胞)の遺伝子を改変し、正常な状態に戻してから患者に移植する再生治療(遺伝子修復治療)が注目を集めている。

 横内氏は2014(平成26)年秋、福島医大で疾患iPS細胞の研究を開始。これまで10種類の疾患iPS細胞を作ることに成功した。現在は欧米で開発されたゲノム編集ツールを用いた編集法の改良に取り組んでいる。

 横内氏によると、細胞のゲノム編集は現状で1回2~3カ月を要し、費用も多額に上るため、より効率良く、従来の3分の1程度の短時間で実現する手法への改良を目指しノウハウを積み上げている。研究用のモデル細胞で手法を確立した後、甲状腺に関連した遺伝性疾患の患者由来のiPS細胞で、新手法のゲノム編集を成功させたい考えだ。

 将来的に緊急被ばく医療への活用も視野に入れる。横内氏は、極めて高線量の被ばくで組織幹細胞が破壊されてしまうケースに備え、iPS細胞で作った緊急移植用の組織幹細胞をストックしておく構想を持っている。

 移植後の安全性を確保するため、移植細胞を体内から除去できるようあらかじめ設計しておく必要があり、そのためにも信頼性が高く効率の良いゲノム編集法の開発が必須だという。

 ゲノム編集を巡る研究について横内氏は「海外で急速に進んでおり、日本はその後追いをしている状況」と指摘。その上で「ゲノム編集が国内外の大学、企業よりも効率良く迅速にできるようになれば、医療・創薬・育種などの分野で幅広く活用でき、福島医大発ベンチャーなど起業にもつながる」と展望を語った。