会議資料に「10メートルの壁」必要性明記 東電旧経営陣・公判

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 東京電力福島第1原発事故を巡って業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(77)ら東電の旧経営陣3人の第2回公判は26日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。公判で採用された証拠から、被告の一人の武藤栄元副社長(67)が出席し、第1原発に大津波が到来する可能性が報告された社内会議の資料に、対策として高さ10メートルの壁の必要性が明記されていたことが明らかになった。

 東電は民事、刑事の各裁判で、大津波は予想できず、現実的な津波対策は不可能だったと主張している。資料は東電が具体的な津波対策を検討、協議していたのではないかとうかがわせるもので、今後の審理で重要な役割を果たす可能性もある。

 公判では証人尋問が行われ、事故当時に東電の原子力設備管理部長代理を務めていた男性が証言した。男性は事故後、東電の事故調査報告書を取りまとめた。

 男性と武藤元副社長らが出席した2008(平成20)年6月の社内会議では、政府が02年に示した見解を基に東電の関連会社が計算した結果、第1原発の敷地に最大15.7メートルの津波が襲来するとの試算が報告されていた。津波の予測を示す資料には、対策として1~4号機がある敷地(海抜10メートル)に高さ10メートルの壁を設置する必要性も図示されていた。

 男性は「高さ10メートルの防潮堤の必要性について、事故前に発想したことはなかった」と話し、東電の事故調査報告書と同様に大津波は予測できなかったとの主張を展開した。会議での詳細なやりとりについては「記憶がない」と証言。当時、東電が津波対策の根拠としてきたのは最大約6メートルの津波だったとして「15メートル超は極端に大きく、違和感を感じた」と話した。この会議で試算の具体的な取り扱いは決まらなかったとしている。

 一方、10メートルの防潮堤の設置について、護岸部の地下にある配管などが工事の障害になるとしつつも「時間がかかり、干渉する建物の移築を含めて大掛かりな工事になるが(実現は)不可能ではない」と認めた。津波対策として、10メートルの防潮堤の建設や建屋に浸水する量を減らすための補強工事などをしていれば「事故は防げた可能性がある」との見解も示した。

 次回は2月8日午前10時から、証拠調べを行う。