敷地外喫煙やポイ捨て懸念 郡山・公共施設全面禁煙から2カ月

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郡山市役所西庁舎に貼られた敷地内禁煙を知らせるチラシ。以前は喫煙所だったが、現在は廃止されている

 郡山市が市の公共施設敷地内を全面禁煙化して2カ月。今のところ目立った混乱はないが、不特定多数が集まる公共施設では市民から分煙などの対策を求める声もあり、毎年夏に開成山公園で開かれているイベント「ビール祭」などへの影響も懸念される。

 ◆◇◇一定の効果

 「子どもへの影響を考えると、率先した受動喫煙対策の取り組みは評価できる」。手続きなどで市役所を利用する郡山市の会社員男性(48)は、自身も喫煙者だが、一定の理解を示す。市役所内では、禁煙やたばこを吸う本数が以前より減るなど、市職員への一定の効果が見られる。

 市職員が喫煙する場は、個人で借りている敷地外の駐車場の車中や、飲食店などさまざま。喫煙者の一人は「人目を気にするようになった」と漏らす。

 一方、市民からは敷地外での喫煙やポイ捨て増加などを心配する声も上がる。昨年12月に行われたイベントでは、敷地外の路上に灰皿を設置、煙が風で会場内に流れたため撤去する事態となった。同市の会社員女性(43)は、敷地外の路上で喫煙者を目にすることも少なくないとし「印象が悪い。他の人の迷惑にならないか疑問だ」と分煙態勢の整備を求める。

 ◇◆◇モデルケース

 禁煙外来担当医を務める坪井病院(郡山市)の坪井永保(えいやす)理事長(58)は「政府が取り組む受動喫煙対策の先行的なモデルケースだ」と、取り組みを評価する。

 坪井氏によると、家族の中で夫が1日20本以上喫煙する場合の妻の肺がん死亡率は約2倍に跳ね上がる。坪井氏は「日本は受動喫煙対策が著しく遅れている。東京五輪が2年後に迫り、対策が急務だ」と警鐘を鳴らす。

 郡山市の受動喫煙対策に難色を示すのが業界だ。分煙に向けた取り組みに注力している日本たばこ産業(JT)東北支社の担当者は「喫煙者に過度な負担を強いるべきではない」と話す。同支社は、全公共施設を禁煙とする昨年8月の市の発表について「寝耳に水。敷地外での喫煙やポイ捨て増加など弊害が生じなければいいが...」と懸念する。

 ◇◇◆福島市は断念

 郡山市に先駆け本庁舎や支所の敷地内禁煙を実践していた福島市は昨年3月、本庁舎西側駐車場の一角に屋外喫煙所を設け、敷地内全面禁煙を断念した。

 要因の一つは市民からの指摘だ。市は新庁舎東棟の完成に合わせ11年1月から敷地内禁煙を開始したが、路上喫煙や煙に関する市民の意見が寄せられたことを問題視した。市職員厚生課は「たばこから生じる煙の処理など、受動喫煙対策の態勢が十分整わなかった」と分析する。