「安波祭」7年ぶり復活へ 津波で社殿流失、存続危機乗り越え

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「多くの人に祭りを通して請戸とつながっていると感じてもらいたい」と願う渡部会長=浪江町

 東京電力福島第1原発事故による避難指示が一部地域を除き昨年3月末に解除された浪江町の苕野(くさの)神社で18日午前10時から、豊漁や海上安全を祈願する「安波祭」が行われる。同神社では東日本大震災直前の2011(平成23)年2月に行われて以来7年ぶりの開催となる。

 安波祭は苕野小島で潮水を献じ、水の濁り具合や泡立ちなどからその年の漁獲高を占ったことが由来とされ、毎年2月第3日曜日に行われていた。地元の子どもや氏子らが古式ゆかしく、浦安の舞や神楽舞、田植踊などを社殿と請戸海岸で奉納していた。

 しかし、海のすぐそばにある同神社は、震災の津波で社殿が流失したほか、原発事故による避難指示が出され、存続が危ぶまれていた。地元の請戸芸能保存会が伝統を守ろうと、震災翌年の12年2月から町民が避難する仮設住宅で田植踊など民俗芸能を披露してきた。

 昨年3月末に同町の避難指示が解除されたことから、同年8月に同神社の復興祈願祭で田植踊を奉納。今年7年ぶりに現地で安波祭を行うことになった。

 当日は同神社の仮の社の前で田植踊や神楽を披露する。震災前に行っていた、祭りの目玉「荒波渡御」は、津波でみこしが流失し、担い手も不足していることなどから行わない。

 同保存会の渡部忍会長(67)は「津波で甚大な被害を受けたこの地区には戻れない。でも、何かみんなをつなぐものが必要だ。その役割は安波祭であり、田植踊でもある」と話している。