音楽!日米の懸け橋 ミュージック・フロム・ジャパンNY公演

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音楽は精神の糧。福島に心を寄せ、作曲家としてできることをしたいと語った新実さん

 日本の現代音楽を米国に紹介する活動を続けているミュージック・フロム・ジャパン(MFJ、三浦尚之理事長)は17、18の両日、米ニューヨークのスカンジナビアハウスでMFJ2018年音楽祭を開催する。初日の17日は作曲家新実徳英さん(70)の個展コンサートが開かれ、東日本大震災にも思いを巡らせたMFJ委嘱曲「魂の形」が世界初演される。新実さんに曲に込めた思いを聞いた。

 ピアノ五重奏曲「魂の形」のテーマは不条理な死。東日本大震災の死者をはじめ、太平洋戦争の死者や現在世界中で起きているテロによる死者など、過去や現在を問わず世界中の不条理な死を思って作曲した。曲はストーリーのない六つの部分から成り、命の躍動やもろさ、人の感情の動きを表現したという。

 新実さんは同曲が米国で世界初演されることについて「アメリカにはベトナム戦争やテロなどの不条理な死者がいる。音楽を通じて死者を思い、日米の人がつながることができればうれしい」と意気込みを語る。

 新実さんと本県の縁は、2007(平成19)年に福島市制施行100周年記念賛歌「ふくしまをてのなかに」を作曲したことにさかのぼる。詩人の和合亮一さんの歌詞をワルツに仕上げた。

 東日本大震災を東京で経験し、放射線への恐怖や政府の対応に怒りを感じ、震災直後から作曲家として何かしたいと考えた。そこで和合さんが短文投稿サイト「ツイッター」で発表した震災をめぐる詩「詩の礫(つぶて)」に曲を作り「つぶてソング」として発表した。

 コンサートでは、新実さんが震災直後の混乱の中で死者の鎮魂への思いを込めて11年に作曲した弦楽四重奏第2番「アスラ」も米国初演される。新実さんは「震災から約7年がたち、風化が進んでいるが震災は終わっていない。福島に心を寄せ、未来に向けて歩く力をお互いに持てるよう、エールを送りたい」と音楽を通じた復興への思いを語った。