【八木沢トンネル開通】難所貫く安全な道 急勾配、急カーブ減少

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急カーブや急勾配など交通難所が続く八木沢峠。トンネルの開通でより安全な通行が可能となる=飯舘村八木沢

 南相馬市原町区大原と飯舘村八木沢を結ぶ県道原町川俣線の八木沢トンネル(延長2345メートル)が18日に開通し、延長2800メートルのバイパスが通行可能になる。相双地方の住民にとって昭和期からの悲願だった八木沢峠の改良は、本県復興を担う「ふくしま復興再生道路」としてトンネル化が進められ、開通の時を迎えた。開通に向けた先人の努力やトンネル開通で描かれる相双地方の将来像に迫る。

 「冬場や夜間は車を運転するのが怖くて通行をためらうことが何度もあった。南相馬市民の悲願がようやく形になる。最高にうれしい」。南相馬市原町区の農業佐藤義徳さん(64)は開通に期待を寄せる1人だ。「女性ドライバーも安心して運転できるようになるし、南相馬を訪れる観光客も増えるだろうね」と笑った。

 県道原町川俣線の八木沢峠は元々道幅が狭く、勾配の急な曲がりくねった砂利道だった。アスファルトで舗装された現在の2車線になったのが1977(昭和52)年12月。しかし、連続する急勾配と急カーブは残ったまま。「改良はありがたいが、もう少し真っすぐな道路にならなかったのかね」。佐藤さんは当時を思い起こした。

 行政や民間でつくる原町川俣線改良促進期成同盟会が95年10月に発足し、八木沢峠のトンネル化などを求める県への陳情を繰り返した。会長だった元南相馬市長の渡辺一成さん(74)は当時の救急医療体制に触れ、「ドクターヘリもなく、傷病者を福島医大に搬送するには難所の八木沢峠を越えなければならなかった。市民の不安は大きかった」と振り返る。渡辺さんは県職員の前で図面を広げてトンネルのルート案をペンで描き、費用対効果を計算、トンネルの必要性を必死に訴えた。

 トンネル着工が直前に迫った14年2月、記録的な大雪で車両約70台が八木沢峠で立ち往生した。県は通常の除雪機に、大型除雪ロータリー車3台を追加投入したが、約1.5メートルの積雪が立ちふさがり、通行止め解除まで約4日を要した。開通により急カーブ5カ所と急勾配1カ所を回避でき、大雪の問題も軽減する見通しだ。市民の悲願がかない、浜通りと中通りを隔てる阿武隈高地をようやくトンネルが貫いた。

 【八木沢トンネル】県が総事業費約80億円を投じて急カーブや急勾配が続く難所をトンネル化。最大7%の勾配が4.5%に改善され、急カーブも解消される。この区間の八木沢峠の現道を設計速度の時速40キロ、八木沢トンネルを設計速度の時速50キロで走行した場合、約3分の時間短縮が見込まれる。