【宮城・女川町ルポ】津波から事故免れた原発 リスクつぶす努力

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JR女川駅から続く遊歩道沿いに並ぶ商業施設。新しいまちづくりが進んでいる

 東日本大震災で20メートルを超える津波が襲い、人口に占める死者の割合が被害市町村で最も高い約8.2%に達した宮城県女川町。目の前に女川湾が広がる町中心部では震災から7年が経過した現在も防潮堤の建設や盛り土の造成工事が慌ただしく進められ、被害の大きさを物語る。一方、津波が押し寄せながらも事故を防げた町南部の東北電力女川原発は再稼働に向けた安全対策工事と原子力規制委員会による2号機の審査が進行している。15日、女川町を訪れ、まちの今に触れた。

 新築されたJR女川駅から海に向かって延びるれんが造りの遊歩道沿いには、飲食店など27店舗が入るテナント型商業施設「シーパルピア女川」と、テナント型観光物産施設「地元市場ハマテラス」が広がる。

 津波で商業機能を失った町で暮らす住民の日常生活をサポートし、観光客を出迎える施設として整備された「にぎわい拠点」だ。平日だからか擦れ違う人は少なかったが、週末は観光客らでにぎわうそうだ。

 「震災前は原発で働く人が町内の飲食店や宿泊施設にお金を落としてくれていたから、土日は休業する店も少なくなかった。町の再整備が進み、ようやく観光客に目を向けられるようになってきた」。シーパルピア内の観光案内所で、同町観光協会の阿部真紀子さん(47)は町の環境の変化をそう語る。

 同駅に隣接した高台には役場や生涯学習センター、保健センターなどが入る複合施設が建設中だ。2020年には小中一貫校も開校するという。新しいまちに変わろうとしている。

 三陸海岸の最南端に位置する牡鹿半島を町中心部から車で40分ほど走ると、女川原発が姿を現す。大地震の震源地から最も近い原発だ。

 東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉で、震災当時、三つの発電設備のうち1、3号機が運転中、2号機が起動中だった。大きな揺れに伴い全機が自動停止後、約13メートルの津波が到達したが、敷地高約13.8メートルを超えることはなく、冷温停止に至った。

 構内では現在、約2500人が作業に当たり、海抜29メートル、総延長800メートルにも及ぶ防潮堤のかさ上げ工事など安全対策工事が進められている。

 福島の原発事故で得た教訓は何か。記者の問いに、女川原発の阿部正信技術統括部長は「原発が『絶対安全』なんてあり得ないということ。原発の安全確保は下りのエスカレーターを上るようなものだ。常に安全を求め、リスクをつぶす努力が必要だ」と答えた。

 もし、福島で事故が起きていなければ、どこかでいまだに"安全神話"が続いていたのかもしれない。