飼料米で「営農」再開 避難指示解除区域、モデル構築へ実証栽培

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 県は東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示の解除区域で、採算の取れる農業経営を確立し、営農再開の起爆剤となるモデル構築に乗り出す。本年度は、JAや市町村と連携して相双地方の3カ所で家畜の餌に使う「飼料用米」の実証栽培に着手。飼料用米を足掛かりに、耕作面積の約6割を占める水田の活用につなげる考えだ。

 県によると、避難指示解除区域の12市町村で営農を再開したのは昨年3月現在、耕作面積全体の24%に当たる1471ヘクタールにとどまり、対策が急務となっている。

 県は生産技術の指導、JAは販路開拓、市町村はコメ農家の選定や連絡調整などに当たる。関係機関が今月下旬に事業を推進する組織を新たに設置する。

 一般的に飼料用米の単価は1キロ25円程度で主食用米の10分の1とされ、農家が安定的な収入を得るには収穫量の確保とコストの低減が大前提となる。県は目標として、10アール当たりの収穫量を地域平均の約1.3倍となる「700キロ以上」、コストを「主食用米より3割以上削減」と設定。採算の取れる農業経営に向けて、効率的な生産技術を検討する。

 実証栽培で蓄積したデータや、浜通りの気候に適した収穫量の多い品種などを盛り込んだ「栽培マニュアル」も策定し、後に続く生産者の指南書として役立てる。

 県によると、浜通りは震災前に畜産が盛んだった阿武隈山地に近く、避難指示解除に伴い畜産の復興が進めば、飼料用米の販売が見込めるという。保存性などに優れた配合飼料を作る企業が宮城県や茨城県にあり、配合飼料の材料になる飼料用米を運ぶ際の交通の利便性も高いとしている。

 県は将来的に主食用米への転換を想定しており、日本穀物検定協会が実施した2017年産米の食味ランキングで最上級評価の「特A」に選ばれた浜通り産コシヒカリの生産増を狙う。

 県は「営農再開は水稲からと考える生産者が多い。まずは飼料用米の品種や栽培方法などを試し、可能性を探ることが重要」(水田畑作課)としている。