命の尊さ伝える『都会のヤギ』 横浜で飼育、北塩原生まれ2頭

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JR戸塚駅そばで飼育されている命(手前右)と子ヤギを飼育する片山さん(左)。駅ホームからも2頭の様子を確認でき、写真を撮影する人も少なくない=横浜市戸塚区

 北塩原村で生まれたヤギが横浜市戸塚区のJR戸塚駅近くで飼育され、話題となっている。「命の尊さを伝えたい」という同区住民らの考えに賛同した村内の農家が譲り、同駅に隣接する商業施設の一角で飼われている。今月には新たに子ヤギが1頭加わり、2頭のヤギが地方と都市部との地域間交流に一役買っている。

 ヤギが飼育されるようになったきっかけは2015(平成27)年、同区内で発生した少年=当時(15)=が母親と祖母を殺害した事件だった。

 「地域のつながりが希薄になっていると感じた」。同駅近くで喫茶店を経営し、地元のまちづくり活動に取り組む片山大蔵さん(49)は事件以降、住民同士のつながりを生むとともに、動物が生きる姿を見て、子どもらが命を考えるきっかけになればと、動物の飼育を検討していた。

 そうした中、片山さんと同じ団体でまちづくり活動をする鈴木勉さん(65)=横浜市泉区=の知り合いを通じ、同村で農業を営む五十嵐悟さん(69)からヤギを譲り受けた。ヤギは性格がおとなしく、動物特有の匂いが少ないため、都市部での飼育にも適していた。

 昨年11月から飼われたのが雌の命(メイ)。JR戸塚駅東口の商業施設の一角を間借りし、片山さんが餌を与えるなど飼育している。廃材を使用した飼育小屋は手作りで、日中は誰でも見学できる。駅ホームからも命の様子を確認できるため、電車を待つ乗客がスマートフォンなどで写真を撮影することも少なくないという。

 片山さんは毎朝1~2時間ほど命を散歩に連れていく。通学途中の学生や住民らから声を掛けられ、命は地元のアイドルとして徐々に受け入れられているという。

 片山さんは今月15日、3月に生まれたばかりの雌の子ヤギを五十嵐さんから譲り受けた。現在、子ヤギの名前を公募している。片山さんは「2頭のヤギが地域のつながりを深める役割になっている。村と区でいずれは交流してほしい」と話す。五十嵐さんも「ヤギが戸塚区で話題になることで、北塩原のことを知るきっかけになれば」と語り、2頭のヤギが都市部と村を結び付ける役割を果たすことに期待を寄せる。