【原発ゼロへ・第2原発廃炉表明】突然表明に波紋 臆測行き交う

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記者団の質問に答える小早川社長(右から2人目)=14日午前、県庁本庁舎3階

 「福島第2原発を全号機、廃炉の方向で具体的な検討に入っていきたい」。14日午前の知事室。東京電力の小早川智明社長はゆっくりとした口調で"答え"を口にした。突然の発言に詰め掛けた報道陣には一気に緊張が走ったが、内堀雅雄知事は表情を一切変えず「県内原発の全基廃炉は県民の強い思い」と返答。内堀知事の冷静な受け答えが小早川社長の発言をかえって際立たせた。

 震災、原発事故後、歴代の東電トップは県や県議会からの再三にわたる第2原発の廃炉要請に、国のエネルギー政策や廃炉費用などを踏まえ「重く受け止める」との言葉を繰り返してきた。社長就任から間もなく1年。この日の小早川社長は内堀知事の要請に答えるまでしばらく間を置いた。東電関係者は「ためらいもあったのだろう」と推し量る。一言一句間違えぬよう自分の中で何度も確認した上で話しているように見えた。

 東電トップの"決断"に県や県議会から一定評価の声が上がる一方、中央政界では二つの選挙に呼応したとの見方が出ている。

 「選挙のお土産だ」。東電が第2原発の廃炉方針を示したとの情報が伝わると、都内にいたある国会議員は思わず漏らした。

 なぜ今なのか。第1原発の廃炉、損害賠償への対応に第2原発の廃炉が加わることで、東電には巨額の費用負担がのしかかる。この費用負担の鍵を握るとされるのが、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働だ。

 新潟県知事選では自民、公明両党が支持した花角英世氏が勝利。花角氏は再稼働を巡り、前知事が進めた検証を継続し、県民意思を尊重するとして慎重な姿勢を崩していない。ただ与党関係者には「野党候補が勝利すれば、再稼働が見込めない事態に陥る可能性があった。(慎重派の)前知事よりは環境が整えやすくなったのでは」と期待する向きがある。与党関係者は東電が数年後の柏崎刈羽原発の再稼働を見込み、かじを切ったと指摘する。

 もう一つは今秋の本県知事選。内堀知事が再選出馬を表明する見通しの21日の県議会6月定例会開会日まであと1週間。内堀知事が就任時から第2原発の全基廃炉実現を県政運営の大きな柱に示してきただけに、何らかの配慮が働いたと推察する見方も国会周辺にはある。さまざまな思惑が交錯する中、第2原発廃炉、そして原発ゼロに向かう長き歩みがようやく始まった。