楢葉・商業施設「ここなら笑店街」オープン 飲食店など10店舗

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 楢葉町が同町北田字中満の国道6号沿いに整備を進めていた公設民営の商業施設「ここなら笑店街(しょうてんがい)」が26日、オープンした。スーパーや飲食店、理容店など帰還した住民の暮らしを支える10店舗が入居。多くの買い物客が訪れ、施設の名称通り、笑顔があふれた。

 施設は、災害公営住宅や診療所などを集約した復興拠点「笑(えみ)ふるタウンならは」に立地している。昨年3月に町に戻った女性(60)は「1カ所で生活に必要なものが全てそろうので便利」と話した。

 町唯一のパン店再開「住民の期待に応えたい」

 「久しぶり」「変わりはないですか」。26日開業した楢葉町の商業施設「ここなら笑店街(しょうてんがい)」。店のスタッフと帰還した住民が会話を弾ませた。入居した店舗の大半が震災と原発事故前、町内で営業していた。2015(平成27)年9月の避難指示解除から2年9カ月が過ぎる中、新しい店舗で再び住民に寄り添っていく。

 町内唯一の手作りパン店「ベーカリーハウス アルジャーノン」は7年ぶりの地元での営業再開となった。午前10時の開店と同時に焼きたてのパンの香りが漂う店内はかつての常連客でにぎわった。店主の八橋(やつはし)真樹さん(46)は、飛ぶように売れるパンを補充するため店内を慌ただしく駆け回った。

 町出身の八橋さんは2001年に町中心部に店を構えたが、原発事故の避難で休業を余儀なくされた。避難生活で疲れを見せる町民に「心が和むような優しい味わいのパンを提供したい」と、12年にいわき市平の仮設住宅前に仮店舗を開設。15年には同市小名浜で本格的に営業を再開した。

 営業が軌道に乗る中、「地元でもう一度パン屋さんを開いてほしい」との声が寄せられた。町内に戻った住民の数が人口の5割近くまで回復するなど帰還が進む中、期待に応えたいと、八橋さんは地元に店を構えることを決意した。

 営業初日、店には約50種類のパンが並んだ。顔なじみの客の中に恩師の姿もあった。八橋さんが中学3年の時の担任だった早川千枝子さん(75)=楢葉町=は教え子の門出を祝おうと店を訪れた。震災前にも店に通っていた早川さんは「柔らかくて食べ飽きない。また味わうことができるのでうれしい」と笑顔を見せた。

 八橋さんは小名浜でも営業を続けるつもりだ。約45キロ離れた二つの店舗を行き来する忙しい日々を送ることになるが、「住民が町に戻って良かったと思えるような、おいしいパンを作り続けたい」と力を込めた。