畜産の村復活へ飯舘で乳牛「育成」 相双の酪農家、今秋にも開始

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フェリスラテが乳牛の育成を始める飯舘村畜産技術センター

 東京電力福島第1原発事故により生産休止に追い込まれた相双地方の酪農家が設立した会社「フェリスラテ」が、今秋にも飯舘村で乳牛の子牛を成牛まで育てる「育成」を始めることが7日、分かった。原発事故による避難指示解除後、同村で大規模な酪農が営まれるのは初めて。村内の帰還困難区域、長泥地区から福島市に避難する同社の田中一正社長(47)は「荒廃した村の農地再生にもつなげ、村の復興を酪農で後押ししたい」と意気込む。

 育成は、村振興公社が所有する同村草野の畜産技術センターを借り受け、4棟計3895平方メートルの牛舎を改修して行う。同社が福島市土船で運営する「復興牧場」から生後2カ月のホルスタインの雌牛を搬入し、20カ月程度育成した後、復興牧場に戻す計画だ。最大で約200頭規模になる見込みという。

 同社はこれまで、育成を北海道の施設に預託してきた。ただ、預託先の北海道で全国からの牛の受け入れが増えるなど環境が変化。管理の目が行き届かないことによる牛への影響などを考え、自社による育成にかじを切った。

 預託していた時より品質の高い牛を育てることができれば、牛の付加価値を高めることができ、費用の削減にもつながる。

 7日までに開かれた地権者や住民向けの説明会では、汚水や環境衛生に関する要望が出されたが、大筋で合意を得た。田中社長は従業員の現地採用なども見据えており「昔の畜産仲間が一緒に関わり、コミュニティーを広げていければ楽しいだろうな」と夢を膨らませた。