【森のささやきが聞こえますか】倉本聰の世界(上) 北の国から

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「倉本聰の仕事と点描画展」で展示される「北の国から ’95秘密」で使用された「石の家」の撮影セット。倉本さんは作品を通し、豊かさを追求する現代社会に警鐘を鳴らしてきた

 本当の豊かさ問う

 テレビドラマ「北の国から」や昨年放送された連続ドラマ「やすらぎの郷」などで知られる脚本家・倉本聰さん(83)の歩みと、ライフワークとして取り組む点描画の世界を紹介する「森のささやきが聞こえますか―倉本聰の仕事と点描画展」が15日、福島市のとうほう・みんなの文化センター(県文化センター)で開幕する。

 北海道富良野市在住の倉本さんは雄大な自然の中、創作活動を続け、数々のヒット作とともに現代社会が抱える多くの問題に一石を投じている。倉本さんの足跡や作品の魅力、点描画への思いなどを紹介する。

 「文明が進歩したことで文明は麻痺(まひ)した」。倉本さんは、便利さや豊かさばかりを追い求める現代社会に警鐘を鳴らし、ドラマや演劇作品にその思いを込めている。

 1981(昭和56)年10月に放送が始まった「北の国から」の舞台、北海道富良野市。その4年前の77年、「豊かな自然の中で暮らしたい」と富良野に移住した倉本さんは仕事の合間を縫い、北の大地に残された廃屋や駅舎を巡った。炭鉱や山林業、水産業など戦後の繁栄を支えた人々の家。大勢の人を都会に送り出し、寂れてしまった駅舎。こうした悲哀に満ちた風景に思いをはせ、物の考え方や人生観を大きく変えていく。

 そんな倉本さんのもとを訪ねたフジテレビのプロデューサーから「北海道を舞台に連続ドラマを書いてください」と頼まれ、生まれたのが「北の国から」だった。

 妻と別れ、息子と娘を連れて東京から故郷・富良野に戻り、廃屋で暮らす父子3人の物語。父親の黒板五郎役は田中邦衛さん。子どもはオーディションで選ばれ、都会で育った息子・純に当時10歳の吉岡秀隆さん、娘・蛍に9歳の中嶋朋子さんが起用された。

 父子がたどり着いた廃屋に水道、そして電気はない。

 「電気がないと暮らせませんよ」

 五郎「そんなことないですヨ」

 「夜になったらどうするの」

 五郎「夜になったら眠るンです」

 こんな父子の会話でドラマは展開した。3人は燃料となる薪(まき)を割り、一輪車で重い石を運ぶ。廃屋は丸太小屋、石の家などに変わっていったが、厳しい自然の中で貧しいながら懸命に生きる父子や富良野の人々の姿を通し、高度経済成長がもたらした大量生産、大量消費の日本が直面する課題をあぶり出した。

 作品は大きな反響を呼び、全24話で終了後もスペシャルドラマが始まり、「'83冬」「'87初恋」「'95秘密」など2002(平成14)年まで21年間続いた。

◆福島で企画展

■期間 7月15日(日)~8月31日(金)

■時間 午前10時~午後6時(最終日は午後4時)

■会場 とうほう・みんなの文化センター(県文化センター) 福島市春日町5の54

■入場料 一般1200円、中・高生600円、小学生以下無料

■問い合わせ 福島民友新聞社事業部(電話024・523・1334)へ。